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一見上得意!?悪質買主がM&Aの世界で跋扈する理由

間違いだらけのM&Aと後継者問題

概要・テキスト
近年、M&A仲介会社が増加傾向にあるが、玉石混交で、よく見極めて選ばないといけないと河合氏はいう。後継者問題は、今の日本では喫緊の課題だが、どう考えていけばいいのか。欧米の事例も参考に議論する。
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:13:01
収録日:2025/03/24
追加日:2025/06/18
キーワード:
≪全文≫

●九段下のビルはなぜ安すぎる価格で売られたのか


―― 非常に参考になる話をありがとうございます。特に、オーナー企業の社長や創業者にとってはとても身につまされる話でした。そもそも九段下の100坪の土地の上に建った立派なビルをもっている会社を、どうしてわずか4.5億円ほどで売却してしまったのか。ここが結構、腑に落ちない点です。

河合 名前は言えませんが、仲介会社がとにかく契約を成立させることを急いだのでしょうね。T社にとっては本当においしい話で、売主にとっては大変損な話なのですが、損か得か、売主である遺族の人たちには分からなかった。要するに、無知だったと思います。

―― なるほど。無知だったということですね。

河合 その無知がこういう不祥事を生んだのだと思います。10数億円の不動産を持っている会社を4.5億円で売るというのは、ちょっと信じがたい。

―― 信じがたいですね。

河合 4.5億円で売るというのも信じがたいし、買うというのも信じがたい。不動産の価値というものも分からなかったのかもしれません。


●自助努力でM&A仲介会社を選び、依頼する


―― なるほど。そうすると、M&Aの世界で誰に仲介を頼んだらいいのかが大切だということ。同じスペシャリストでも、いい人と悪い人、優秀な人と優秀でない人では雲泥の差がありますよね。そのあたりの個人的なネットワークや人脈、知識のバックグラウンドが全然なかったということですね。

河合 全くそうだと思います。一般的にいって、ここ数年、M&A仲介会社が雨後の筍のように発生しているわけですが、会社を売るときも買うときも、M&A仲介会社をよく選ばないと駄目だと思います。それにはやはり、その会社の社歴や評判についてはよく聞いてから依頼をすべきです。

 M&A仲介業というのは、一発当たるとすぐに数千万円儲かるわけです。だから、あまり大した知識がなくても、知ったふりをして仲介業に進出してくる業者が多い。

 そういうところに引っ掛からないようにしなければいけないと思います。その点、中小企業庁でも気がついて、登録制にしようということになりました。

―― なるほど。

河合 登録制にしても、厳しく審査するのは難しくて、事件を起こしたところは取り消していくにしても、日常的に検査するのはなかなか難しいでしょうから、やはりM&Aの当事者、売主・買主が自分で防衛して自衛...
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