宗教で読み解く世界
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
イスラム教とアッラーの意味…キリスト教との関係と違い
第2話へ進む
キリスト教とは?…他の一神教との違いは神様と法律の関係
宗教で読み解く世界(1)キリスト教の世界
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、儒教、そして日本宗教の、それぞれの特徴を「ひと言」で分析すると? 橋爪大三郎先生が一刀両断に分析。宗教の特徴を知れば、世界の各地域のあり方や文化もよくわかるようになる。「教養としての宗教」が身につく講義シリーズ。第1回目はキリスト教について。キリスト教はユダヤ教やイスラム教と同じく一神教だが、他の一神教と決定的に異なる考え方を持つ。橋爪氏はその違いこそが、西洋の近代化を可能にした、いわばキリスト教の秘密だと言う。(全5話中第1話)
時間:12分11秒
収録日:2019年1月21日
追加日:2019年5月18日
カテゴリー:
≪全文≫

●キリストとは「救い主」という称号


 橋爪大三郎です。本日は、キリスト教についてお話ししましょう。

 キリスト教で一番大事なのはイエス・キリストです。そういう人物がいたのです。イエス・キリストは何者なのか。これが分かると、キリスト教が分かります。

 まず、名前についていえば、「イエス(Jesus)」というのは与えられた名前で、太郎、花子のようなものです。親に付けられた人間としての名前です。では、「キリスト」は何かというと、これを名字だと思っている人がいますが、当時、名字はありませんでした。キリストというのは「救い主」という称号です。キリスト(クリストス)というのは実はギリシャ語で、ユダヤ人との間に生まれたのですが、皆は彼のことをメシア(救い主)だと思ったわけです。救い主(メシア)のキリスト、これがギリシャ語になって、イエス・キリスト、あるいはキリスト・イエスと呼ぶようになりました。これがヨーロッパ言語で知られているイエス・キリストです。


●キリスト教は一神教としては変則的


 さて、イエス・キリストというのは、皆さんご存じかもしれませんが、神の子であり、救い主キリストです。このようになっているのですが、実はここから少し話がややこしくなります。

 キリスト教は一神教で、神様が1人いるという考え方でしょう。神様は1人という考え方なのに、神の子がいるというのは、一神教としては大変変則的なことで、つまり一神教らしくないのです。一神教らしくないキリスト教が、もともとのユダヤ教の間から出てきました。そして、母屋を乗っ取るような形で、ユダヤ教よりも何十倍も大きなグループになって、今、世界を席巻しているという、こういう不思議なことが起こるのです。

 そこで、話の順番として次のようにお話しします。一神教とは何か。一神教から見て変則的なイエス・キリストはなぜ生まれたのか。イエス・キリストが十字架で犠牲になって死ぬと、なぜ人類が救われるのか。これはいずれも大きな問題ですが、これをかいつまんで、ごく短くお話しするのが今日の目的です。


●一神教は神様が1人いて世界をつくったという考え方


 まず、一神教とは何か。一神教というのは、神様が1人いて世界をつくりましたという、こういう考え方です。ユダヤ教はこういう考え方で、その神を「ヤハウェ」といいます。『旧約聖書』という書物があ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
人生100年時代の「ライフシフト概論」(3)キャリアの危機〈下〉
40代前半に訪れる「中年の危機」、鍵は「人生の成長戦略」
徳岡晃一郎
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏