教養としての世界史とローマ史~ローマ史講座・講演編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
一神教のキリスト教が広まった理由…迫害から公認への歴史
教養としての世界史とローマ史~ローマ史講座・講演編(4)一神教としてのキリスト教
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
一神教であるキリスト教の登場と普及は、世界史における重要な転換点である。キリスト教はなぜ普及したのか、そしてなぜローマにおいてキリスト教は迫害されたのであろうか。その理由が、一神教の特徴とローマの文化という観点から明らかにされる。(2018年11月28日開催10MTVオピニオン特別講演会<教養としての「世界史」と「ローマ史」>より、全11話中第4話)
時間:7分21秒
収録日:2018年11月28日
追加日:2019年7月27日
≪全文≫

●一神教としてのユダヤ教普及とキリスト教登場


 一神教というものを世界宗教として考えてみれば、ユダヤ人が最初に大々的に一神教を作りました。そして、ローマ帝国内部のいろいろな都市部に伝えていきました。上の地図では、ユダヤ人の多いところが赤い点で示されています。例えば、ローマであったり、マッシリアであったり。マッシリアは今のマルセイユです。地図を見ると、港町が多い。そういったところに一神教の拠点ができて、やがてそれを基盤としてキリスト教が成立していきます。

 これは、キリスト教が登場して200年ぐらいたった頃、ローマの街でキリスト教を揶揄したという絵です。「お前たちがあがめている神はどうせ大したものではない」ということで、十字架に掛けられたロバがつるされています。これはイエスのことですが、イエスを他の連中がばかにしていることを表す絵です。

 それでも、キリスト教徒は集まりながら、上の絵のような形で自分たちの信仰を育んでいくわけです。


●一神教の特徴は「心の内なる世界に向かう精神」である


 そういった中で、一神教の成立に関しては結局、なにが一番重要なのでしょうか。まず、多神教、つまり神々をあがめる世界では、儀式、セレモニー、あるいは外形的な態度を重視します。ですから、形式がきちんとしていればいい、見かけがきちんとしていればいい。極端にいえばそういうものです。

 ところが、『新約聖書』の中の言葉に「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛しなさい」とあるように、典型的ですが、キリスト教はこのことを内面の問題として持ってきています。それから、十戒には「汝、姦淫するなかれ」とあり、これはその行為をしなければいいとも読めます。しかし、イエスの言葉の中には、「淫らな思いで他人の妻を見る者はすでに心の中でその女を犯したのである」というものがあります。

 これはつまり、あくまでも内面の心の問題として取り上げていることを意味します。これがおそらく、一神教の大きな特徴ではないかと思っています。多神教にはなかった、神々をあがめる世界では思わなかった、そう...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
遊女の実像…「苦界?公界?」江戸時代の吉原遊郭の真実
堀口茉純
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国共産党と人権問題(2)中国共産党は超法規的存在?
国家の上に存在する中国共産党はどのような組織なのか
橋爪大三郎
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑