教養としての世界史とローマ史~ローマ史講座・講演編
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
「神々のささやく世界」では神々の声が行動を決める
第2話へ進む
教養の基礎となるのは、古典と世界史である
教養としての世界史とローマ史~ローマ史講座・講演編(1)古典と世界史
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
「教養とは何ですか」という問いに対して、一番の基本は古典と世界史であると本村凌二氏は言う。文学や社会科学などの古典をじっくり読み、世界の歴史をさかのぼって学ぶことによって、現代だけを見ていたら分からない問題の本質を見えてきて、ものの見方に非常に深みが出てくるようになる。今回のシリーズでは教養として大事な世界史およびローマ史に注目し、解説を進めていく。(2018年11月28日開催10MTVオピニオン特別講演会<教養としての「世界史」と「ローマ史」>より、全11話中第1話)
時間:8分42秒
収録日:2018年11月28日
追加日:2019年7月20日
≪全文≫

●教養の基礎となるのは古典と世界史である


 東京大学名誉教授の本村凌二です。私はテンミニッツTVにすでに何本か出演しているのですが、今回は特に世界史とローマ史に関してお話ししていきたいと思っています。

 その前に、今回のテーマは「教養としての(世界史とローマ史)」ということで、教養の基本とは何かということについて、まずお話しします。私は、それは古典と世界史だと思っています。「教養とは何ですか」と言われたら、それが一番基本的なことだと思います。


●古典をじっくりと読むことが大事


 では、古典とは何でしょうか。古典にはもちろん『イリアス』や『オデュッセイア』のように、非常に古い時代に書かれたものがあります。20世紀になってからは、例えばジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』、それから19世紀にはトルストイの『戦争と平和』などがあります。あるいはそういった文学的な古典に限らず、社会科学上の古典もあります。例えば、アダム・スミスの『諸国民の富』やマルクスの『資本論』などがこれに当たります。

 『資本論』については、少し自慢話になるのですが、1つエピソードがあります。私は、10年くらい前に読売新聞の書評委員を2年間務めました。その時、その中に橋本五郎さんという政治記者の方がいらっしゃいました。今は特別編集委員をやっていらっしゃいます。その方と一緒に書評委員をしていたので、書評委員会が終わった後、いつも飲み会のような感じになり、お話をしました。橋本さんと私は年が近かったこともあり、いろいろな話をしました。

 その中で橋本さんは、「本村さん、われわれは、もうそろそろ定年になってゆっくりしたら、『資本論』をちゃんと最初から最後まで読みたいね」と話し掛けてきました。それに対して私は「橋本さん、ちょっと申し訳ないです。私、大学1年生の時にもう読みました」と答えました。すると、橋本さんは少し仰天なさって、「僕の前で『資本論』を最後まで読んだと言ったのは本村さんで2人目です」とおっしゃいました。そこで、「1人目は誰ですか」と聞いたところ、「不破哲三さんです」とおっしゃいました。不破さんのことは、年配の方であればおそらくご存じだと思います。

 ただ私自身の場合、若かったですし、別に初めから歴史を勉強しようと思っていたからその本を読んだのではありません。私が大学に入ったのはちょうど19...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介

人気の講義ランキングTOP10
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
東秀敏
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
世界哲学のすすめ(1)世界哲学プロジェクト
日本発!危機の時代に始動する世界哲学プロジェクトの意義
納富信留
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
松尾睦