教養としての世界史とローマ史~ローマ史講座・講演編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
なぜローマだけがあれだけ強大な国家になったのか
教養としての世界史とローマ史~ローマ史講座・講演編(9)ローマ人の特質
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
ローマはなぜ強大な国家になり、覇権を握ることができたのか。その理由に関してはいろいろな意見が出されている。本村凌二氏は特に、ローマ人の敬虔さおよび慎み深さ、ものごとを洗練させていく能力、そして寛容の精神に、その理由を求める。(2018年11月28日開催10MTVオピニオン特別講演会<教養としての「世界史」と「ローマ史」>より、全11話中第9話)
時間:12分22秒
収録日:2018年11月28日
追加日:2019年8月10日
≪全文≫

●ローマはなぜ覇権を握れたのか


 カエサルが登場した時期のローマはすでに、いわばローマ帝国といっていいほどの大きな規模になっていました。今はローマの話だけをしていますが、当時ポリス、いわゆる都市国家というものは、地中海世界において1,000を超えるくらい存在していました。数え方によっては、1,500であるとか2,000であるという人もいます。これは、どれくらいの規模のものを都市として考えるかによります。例えば、人口5,000人くらいのものを都市として考えれば、おそらく1,000を超える都市があったことになります。

 そのように1,000以上もの都市国家がある中で、なぜローマだけがあれだけ強大な国家になったのでしょうか。これは、今でも問題となっていますし、古代人自身が問題にしていたことです。なぜローマがあれだけ強大になったかについては、もちろんいろいろな意見があります。


●ローマ人の敬虔さと慎み深さ


 1つの意見として、ギリシア人の歴史家であるポリュビオスという人物の意見があります。彼は、紀元前2世紀にローマと戦った時、人質となりました。人質とはいっても非常に温厚に扱われたのです。ローマに連れていかれたポリュビオスは、20年くらいローマを見ているのですが、その時に彼は、「ローマは宗教によって他の国々に勝る」と言っています。

 それはどういうことなのでしょうか。これに関してはもう1人、それから100年後の人物である、キケロというローマの大政治家が自ら、われわれローマ人はどこが優れているのか、ということを考えています。住民数では、ヒスパニア(今のスペイン)の人などには勝てない。体力とか活力では、ガリア人、あるいはゲルマン人などに負ける。カルタゴ人は、非常に商才に長けていて多才である。ギリシア人は、学芸、つまり学問と芸術において優れている。エトルリア人は、非常に技術において優れている。ローマの建築にはアーチがあったりしますが、あれは完全にエトルリアから学んでいます。また、例えばお墓の中を見ると、紀元前5世紀くらいに歯科治療で使うブリッジを作成して、それで歯を治療していました。こういったように、エトルリア人は非常に技術に長けていました。

 そういった優れたところがいろいろな人々にある中で、ではローマは何において優れているのかと、キケロは自問するわ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
東秀敏
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
松尾睦
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規