フラウィウス朝時代~ローマ史講座Ⅶ
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神経質な皇帝が行った恐怖による「資金調達」
フラウィウス朝時代~ローマ史講座Ⅶ(4)ドミティアヌスの恐怖<上>
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
フラウィウス家の3人目の皇帝は、30歳で即位したドミティアヌスである。行政に熱心で、属州経営にも心を砕く皇帝として出発した彼の名は、やがて元老院貴族にとっては「恐怖」を意味するようになる。その間に何があったのか。東京大学名誉教授・本村凌二氏に、ドミティアヌスの時代をご案内いただこう。(全5話中第4話)
時間:12分18秒
収録日:2017年11月17日
追加日:2018年4月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●フラウィウス家3代目は几帳面なドミティアヌス


 父親のウェスパシアヌス、息子で兄のティトゥスと、フラウィウス家の皇帝が相次いで登場し、亡くなっていった結果、弟のドミティアヌスが皇帝になります。

 ドミティアヌスは几帳面な性格だったのか、即位した最初の段階ではローマのさまざまな規則をきちんと守らせることに意を用いました。行政を適切に行うことに意欲的で、2代皇帝のティベリウスを非常に尊敬していたともいわれます。

 ティベリウスは、常に称賛を浴びる創始者である初代皇帝アウグストゥスの陰に隠れがちな2代目でした。同じことはフラウィウス家にもいえます。ネロが亡くなった後の内乱を経て、新しいローマ帝国の創業者になったのがウェスパシアヌスという父親だという見方もできるからです。

 アウグストゥスやウェスパシアヌスのような節目に当たる人はいいのですが、2代目や3代目が適切な評価を受けるのは難しい側面があります。創業者がつくったものをちゃんと運営していって当たり前、少しでも手抜かりがあると批判され、酷評されることになりがちです。実際にティベリウスは、かなり批判されるところがあります。


●ドミティアヌスの尊敬したティベリウス帝


 ティベリウス帝については、「ローマ帝国皇帝物語」シリーズでもお話ししました。軍人として非常に優れ、官僚制システムをきちんとつくり上げて行政能力も発揮したティベリウスは、20年近い治世の後半ではローマを離れ、カプリ島に隠棲しました。

 今日も遺跡が残るカプリ島の丘のてっぺんにある「ヴィラ・ヨヴィス」にいて、彼は日々報告を受けながら、政治を行ったのです。別の見方をすれば、皇帝不在でも政治はきちんと行われるように、ローマの官僚制がうまく機能し始めていました。中にはセイヤヌスのように宮廷の実験を握り、元老院を牛耳る人間も出てきますが、その点でティベリウスは、軍人としてだけでなく、行政者としてももっと評価されてしかるべき人物だろうと思います。

 ただ、彼は人格的に「暗い」印象が持たれてきました。また、皇帝即位が50代後半と、当時としてはかなり高齢に属していました。結果的に、明るくないところが嫌われ、彼が亡くなった時にはローマの民衆が快哉を叫んだといわれているほどです。

 ドミティアヌスは、ティベリウスの有能な面を評価していたようです。人格的にも似た...

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