教養としての世界史とローマ史~ローマ史講座・講演編
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枢軸時代に世界史の中で重要な思想家たちが登場
教養としての世界史とローマ史~ローマ史講座・講演編(3)神々の沈黙と枢軸時代
歴史と社会
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
紀元前1,000年を迎えると、人間の世界は「神々のささやく世界」から「神々の沈黙」へと変化する。またこの時代は、世界史において非常に重要な思想家がさまざまな地域で登場した、「枢軸時代」でもあった。このような変化は、なぜ、どのようにして起こったのだろうか。(2018年11月28日開催10MTVオピニオン特別講演会<教養としての「世界史」と「ローマ史」>より、全11話中第3話)
時間:7分36秒
収録日:2018年11月28日
追加日:2019年7月20日
≪全文≫

●「神々の沈黙」と読み書きの普及


 前回お話ししたように、神々がささやく世界が、今から3,000年以上前の時代にはあったのではないかと、私は思っています。しかしそれが、ある時期からそうではなくなってきて、神々があまり人間に語り掛けなくなってきました。

 そしてこの過程に関しては、私は一つの仮説として、アルファベット、一神教、貨幣、そういったものが東地中海に登場してくる時期に、この神々のささやきが聞こえなくなる時期が来たのだと思っています。

 これは非常に大きな問題ですが、世界史において多神教と一神教というものを考える上で、文字を書くようになることが人間にどのような反応を与えたか、ということが重要だと思います。文字を書くことは、われわれにとっては当たり前のことですが、人類の歴史を見ると、5,000年ぐらい前にようやく始まったわけです。つまり、くさび形文字やヒエログリフができて、それから漢字ができたり、インダス文字ができたりしました。そう考えると、せいぜい5,000年です。それも、最初はごく一部の人しか使うことができませんでした。今の日本のように、90パーセント以上の人が読み書きできるということは、人類史的な規模で見ると、とても異常なことです。

 しかし、文字を書けるようになることがおそらく、神々の声が聞こえなくなることの1つの大きな原因であったと、私は考えています。文字の中でも特に、アルファベットの影響が大きいのです。アルファベットを使えばごく少ない文字で書けますから、多くの人が読み書きできるチャンスが増えてくるわけです。このことは、私が書いた『教養としての「世界史」の読み方』という本の中で、もう少し詳しく解説しています。


●「神々の沈黙」と一神教の登場


 それから、そういった神々の声が聞こえなくなってきた紀元前1,000年前後に、例えばエジプトでは、アクエンアテンという一神教を初めて唱えた人物が登場してきます。

 それから、その100年後ぐらいには、シナイ半島でエジプトを脱出したモーセがいわゆる十戒を授かって、ユダヤ教の出発点になる事件が起こます。実際にどの程度起こったかは別にしまして、その頃起こったといわれています。

 このアクエンアテンとモーセの関係については、歴史家は...

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