教養としての世界史とローマ史~ローマ史講座・講演編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史の同時代性」に着目すると歴史をより深く理解できる
教養としての世界史とローマ史~ローマ史講座・講演編(5)歴史の同時代性
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
世界史を見ていく上で切り口となるものに、「歴史の同時代性」がある。世界の歴史を見ていくと、異なる地域であるにもかかわらず、同じ時代に似たようなことが起こっていることが分かる。このような「歴史の同時代性」に着目することで、歴史をより深く理解することができる。(2018年11月28日開催10MTVオピニオン特別講演会<教養としての「世界史」と「ローマ史」>より、全11話中第5話)
時間:5分50秒
収録日:2018年11月28日
追加日:2019年7月27日
≪全文≫

●世界の歴史には同時代性というものがある


 世界史の調理法ないし切り口の2つ目として、歴史の中における同時代性というものがあります。例えば、紀元前202年はローマ史で見れば、スキピオがカルタゴのハンニバルを、今のチュニジアにあるザマというところで破りました。それまではローマが劣勢でしたが、スキピオが勝利したことによって、いわばその後のローマ帝国の基盤が築かれたのです。

 スキピオは、ハンニバルに対する勝利で、救国の英雄としてたたえられました。それまで劣勢だったローマを救ったからです。しかし、英雄視されると当然、気に入らない者たちが、つまり反スキピオ派が出てくるわけです。そうして10年後ぐらいに、ある軍団を指揮していた時の使途不明金があるということで、スキピオは告発されてしまいます。

 最終的には裁判にも有罪にもなりませんでしたが、スキピオは汚名を着せられたこと自体に憤然として、そのままローマを去ってしまい、二度と帰ってきませんでした。よく「罪の文化」と「恥の文化」という対比が使われますが、ローマはどちらかというと、恥の文化なのです。つまり、罪があったか否かよりもむしろ、自分が汚名を着せられたこと自体、スキピオは釈然としない思いを持ったということです。

 同時代性の話に戻りますと、そのハンニバルとスキピオとの戦いでスキピオが勝利を収めたのと同じ年に、実は東に目を向けると、垓下(がいか)の戦いがありました。項羽と劉邦との戦いが、ハンニバルとスキピオとの戦いと同じ年にあったのです。そこから生まれた「四面楚歌」という言葉が有名ですが、劉邦が項羽を破って、漢の国の起点をつくりました。これはつまり、ユーラシアの西と東とで世界帝国に向かう決定的な事件が起こっていることを意味します。


●ローマ帝国と漢帝国との同時代性


 同時代性のもう1つの例として、それから500年ほどたった後、2世紀の末から3世紀の時代に目を向けてみます。ここでもやはり、ローマ帝国と漢帝国とで同じようなことが起こっています。一方の漢帝国は、この時にはもうほとんど解体状態で、有名な三国志の世界になっています。魏、呉、蜀に分かれて、およそ80年にわたって分裂した状態になります。そしてその後、魏によってある程度統一されます。

 他方、同じ時期のローマは、「軍人皇帝の時代」、あるいは「3世紀の危機」と呼ばれたり...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(1)キスカ島撤退作戦
5200人の将兵を救え…米軍も称賛した「キスカ島撤退作戦」の奇跡
門田隆将
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
老子の神髄(5)玄人と小国寡民
したたかで超越的な知恵…見えないものを見ようとする知的好奇心
田口佳史
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(2)三大要素は「皇帝」「都市」「漢字」
中国皇帝の実像は都市ネットワークを握る「最大の資本家」だった
宮脇淳子
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
編集部ラジオ2026(21)中西輝政先生:アメリカの本質
【10min解説】独立250年、アメリカの理念と本質とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ウェルビーイングを高めるDE&I(6)エクイティ実現と特権性の理解:前編
改札、公衆トイレ、在宅勤務…構造的格差とエクイティの意味
青島未佳
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(4)ユダヤ人と金融
金融業にユダヤ人が多い理由、そして大国興亡史の裏面のユダヤ人
鶴見太郎
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(2)エディプス・コンプレックスと自我
タブーを犯したい欲望…エディプス・コンプレックスとは?
斎藤環