ケルト神話の基本を知る
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ケルト神話とは…ダーナ神族、アルスター神話、フィアナ神話
ケルト神話の基本を知る(1)ケルト地域と3つの神話群
鎌田東二(京都大学名誉教授)
ケルト神話とは何か。ケルトという地域は広範囲にわたっており、一般的にアイルランドを中心にした「島のケルト」と、フランスやスペインの西北部などに広がった「大陸のケルト」があるが、神話が濃厚に残っているのはアイルランドという。そのケルト神話にはダーナ神族の神話、アルスター神話、フィアナ神話という3つの神話群があるが、それらはどのようにして形成されていったのか。今回はケルト神話の特徴について、ギリシア神話やメソポタミア神話などと比較しながら解説する。(全3話中1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分46秒
収録日:2022年4月12日
追加日:2023年7月23日
≪全文≫

●「島のケルト」と「大陸のケルト」、伝承の最終地点はアイルランド


―― 皆さま、こんにちは。

鎌田 こんにちは。

―― 本日は鎌田東二先生に、ケルト神話についてお話をうかがいたいと思います。先生、どうぞよろしくお願いをいたします。

鎌田 よろしくお願いします。

―― ケルト神話というと、おそらく多くの方が聞いたことはあると思うのですが、地域的にはどのあたりの神話と考えればよいのでしょうか。

鎌田 ケルトという地域はかなり広範囲にわたっています。一般的には「島のケルト」と「大陸のケルト」といわれてきました。島のケルトはアイルランドが中心で、イギリスのウェールズ地方、南部のコーンウォール地方、北部のスコットランド地方など、イギリスの一部も含まれます。

 それに対して、大陸のケルトはフランスの一部、特に西北部、そしてスペインの西北部に広がっています。このあたりでは「スペインケルト」や「フランスケルト」と呼ばれています。

 もともとはオーストリアやヨーロッパの中部から東欧に近いところで発祥し、移動してきたとされています。その最終地点がアイルランドですね。ですから、そうしたものを相当含み持ちながら、最終的にはアイルランドで伝承されていった。濃厚に残っているのがアイルランドなのです。


●ケルト神話には大きく3つの神話群がある


―― それでは、先生、ケルト神話の総括的なあらすじや、その特徴についてお伺いできますか。

鎌田 いろいろな伝承テキストやフォークロア的な採話があるため、はっきりしたことをいうのは難しいのですが、その上で簡単にいうと、大きく3つの神話群があると総括できます。

 まずダーナ神族(の神話)、次にアルスター神話の大きな流れ、そしてフィアナ神話というものです。歴史的な見方をすると、これらはアイルランドに移住してきた人たちの第1世代、第2世代、第3世代の神話体系が、それぞれの群として残っているというふうにも理解できます。

 ですから、ケルト神話というときに、それは本当にケルト族が伝承してきた物語なのか、あるいはそれ以前からいた土着の人々が持っていた神話が新しく入ったケルト族の神話に取り込まれたものなのか。例えば、メソポタミア神話がユダヤ神話に取り込まれたように、アイルランドやイギリス、ブリテン島に伝わっ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
『貞観政要』を読む(1)長期政権を目指す者の必読書
北条政子も愛読した長期政権のバイブル『貞観政要』
田口佳史
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
プロジェクトマネジメントの基本(2)プロジェクトの複雑性とマネジメント
コスパが鍵!? 顧客満足につながる品質マネジメントとは
大塚有希子