古事記・日本書紀と世界神話の類似
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アメリカのエネルギーを作り出している神話のせめぎ合い
古事記・日本書紀と世界神話の類似(6)神話とアメリカの関係
哲学と生き方
鎌田東二(京都大学名誉教授)
われわれはなぜ類似するほど神話を持つ必要があるのだろうか。神話がわれわれに伝えようとしたメッセージ、与えた影響など、人類が世界各地で神話を持ち続けてきた意味を、アメリカという世界と神話の関係から読み解く。(全10話中6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:7分54秒
収録日:2021年9月29日
追加日:2022年4月24日
≪全文≫

●人類の創造を生み出す根源的なイメージの力は神話にある


―― そもそも論として、各文化圏に神話があること自体が不思議な話ですよね。なぜそういった話を作らなければいけなかったのでしょうか。

鎌田 それは先ほど言ったように、生きるためですよ。

―― 生きるためなのですね。

鎌田 生き抜くためです。なぜかというと、私たちは苦しんでいるとき、生き抜いていくために、その出口を探していくわけです。出口を探していくときに一番のきっかけになるもの(力の根源、考え方の根源になるもの)が神話なのです。考え方の類型の根拠(拠り所)になっているのです。

 神様がこのような苦しい目に遭っていた。天岩戸の前で太陽神が隠れてしまって世界が真っ暗闇になって冷却化してしまい、さまざまなパンデミックな災いが起こってきた。そのようなどうしようもないクライシスの中で、そのクライシスを切り抜けるために祭を行うことになって、その祭を通して光がもう1回再生していった――。

 このような話を持つことによって、われわれの生きる力、発想の新たな展望・展開を生み出してくれる。ものの考え方、発明、発想、新しい地平の形成、新しい関係性の形成、新しいシステムの構築といったものを全て、神話が教えてくれている、神話が支えてくれているのです。

 こうして神話がメッセージとして伝えてくれているものは、過去の人類の最大の知の遺産です。英雄神話であれ何であれ、われわれの世界がどんなに苦しい状況の中にあっても、もう1度ゼウスの神が金の雨を降らせてペルセウスがやってくる、ヘラクレスがやってくる、あるいはスサノオがよみがえる。そういった物語を持つことで、われわれが生きていくビジョン、勇気、探求心、忍耐心、さらなる冒険心といったものを持つことができる。それによって、その先に新しい世界が創造されていく。

 だから、人類の創造を生み出す根源的なイメージの力は神話にあると、私は思っています。


●神話が「生きるためのエネルギー源」になっている


―― たしかにそうですね。冒険心といったものも含めて、全部込められているということですよね。

鎌田 例えば、アメリカという国はとても難しい国ですが、何が難しいのか。メイフラワー号に乗ってアメリカ東部のボストンあたりに着いた最初の人たちは、イギリスに住み続けることが苦しくて、新天地を求めてい...

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