日本語と英語で味わう『源氏物語』
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
平安時代から続く伝統…『源氏物語』の最大の特色は口承性
日本語と英語で味わう『源氏物語』(2)『源氏物語』が描いたリアリティ
時代を越えて読み継がれる『源氏物語』の魅力は、人間のリアリティがとことん描かれていることにある。愛読者だったという藤原道長はもちろん、白河上皇や本居宣長といった、その後の歴史的人物にも愛され、いろいろと論じられてきた『源氏物語』だが、今回はその中で描かれている人間のリアリティ、その奥深さに迫る。(2024年2月18日開催「大人の学びフェス」講演〈「源氏物語」の深い魅力〉より、全5話中第2話)
時間:14分08秒
収録日:2024年2月18日
追加日:2024年10月21日
≪全文≫

●『源氏物語』を誰が最初に読んだのか


キャンベル 最近(思うのは)、紫式部の『源氏物語』は、たいへん長編でもありますし、長い時間をかけて書いたに違いないと。最初におっしゃったように、曖昧模糊とした彼女の日常の行状がどういったものかということは、『紫式部日記』というもの自体が文学的な営為だということもあり、先ほど申し上げたような同時代の日記や史料からいろいろな推定をしながら、『源氏物語』はどうして書かれたのか、誰にそれを(書いたのか)と。18~19世紀以降、特にロマン主義というものがヨーロッパのドイツやイギリスで登場すると、天才として作者というものが現れて、そこに読者がいなくてもおのずから自分の才能を発露するための詩や作品をつくる、あるいは作曲をするということがあるのです。けれど、11世紀の日本にはそういう概念も実体が当然ないわけで、最初に読んだ人は誰なのかということが最近、研究者たちの間で問題といいますか、注目されています。

 やはり藤原道長のために書かれたとか、最初に読んだのはそう(道長)に違いないとか、いろいろな人が誰が最初に(読んだのかについて話題にしています)。だって鎌倉時代より前に、『源氏物語』は実際に書かれたものが存在しないわけです。鎌倉時代に書かれた写本というものが、私たちが行きつく最古のものとしての『源氏物語』です。

 そういうことがあって、ユネスコの世界遺産には登録しにくいともいわれたりしているのです。原稿が残っていないということですね。どうなのでしょう。佐藤信彦先生がおっしゃった、その絶妙な文章を誰が最初に(読んだのでしょうか)。

林 『紫式部日記』を見ると、たしかに道長が『源氏物語』の愛読者であったことは間違いないのです。紫式部が留守の間に彼女の部屋に入っていって、そこにあった原稿を持っていってしまったりしているわけなのです。

キャンベル ひどいですね。

林 それで紫式部は、「ああ、あれはいろいろあとから書き直して、推敲した原稿だったのに」ということを言ったりしているわけです。だから今、われわれが見る『源氏物語』のどのレベルの話であるのかがよく分からないのですけれど、当時の宮廷の彰子中宮を中心とする貴族社会の中では、『源氏物語』はよく知られていて、道長に限らずみんなが楽しみにしていたと見るのがいちばん正しいと思います。

キャン...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
ピアノの歴史は江戸時代に始まった
野本由紀夫
『古今和歌集』仮名序を読む(1)日本文化の原点となった「仮名序」
『古今和歌集』仮名序とは…日本文化の原点にして精華
渡部泰明
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤

人気の講義ランキングTOP10
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
これから必要な人材と人材教育とは?(2)AI時代に必要とされる能力
AI時代に必要なのは「問いを立てる能力」…いかに育成するか
柳川範之
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(6)日本人の当たり前と山本七平の違和感
日本の異様さ…フィリピンから復員した山本七平が驚いたこと
與那覇潤
ユダヤ神話の基本を知る
ユダヤ教の神話…天地創造、モーセの十戒、死後の世界
鎌田東二
「ものがたり」のあるコンプライアンス(3)会社法
プライドと切り離されたコンプライアンスは必ず失敗する
國廣正