日本語と英語で味わう『源氏物語』
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ロバート キャンベル氏の朗読で堪能する英訳版『源氏物語』
日本語と英語で味わう『源氏物語』(5)英訳による『源氏物語』とその世界観
『源氏物語』は場面に応じて異なる文体を用いるところにその魅力がある。その文体を、アーサー・ウェイリーはどのように英訳していたのか。また、『源氏物語』は日常の淡々たる平和な生活を描いたものだが、その世界観がどう彼らに響いたのだろうか。日本人にとって馴染みのない『源氏物語』の英訳文を、ロバート キャンベル氏の朗読によって味わい、その豊かで繊細な描写を体感しよう。(2024年2月18日開催「大人の学びフェス」講演〈「源氏物語」の深い魅力〉より、全5話中第5話)
時間:10分01秒
収録日:2024年2月18日
追加日:2024年11月11日
≪全文≫

●アーサー・ウェイリーの英訳で味わう『源氏物語』の繊細な描写


林 (アーサー・)ウェイリーの『Tale of Genji』という英訳本について、私たちは日本語は読めるけれど、英語はなかなか読みにくいものですから、いったいどのように訳されているのかとすごく興味があります。今日は、せっかくキャンベルさんにおいでいただいたので、一部を読んでいただくところがあるのです。

キャンベル 英語で読むのですか。

林 ええ、そうです。

キャンベル 私が?

林 不得意でしょうけれど(笑)。

キャンベル いやいや、そんな話でしたっけ、みたいな。

林 私は現代語に訳すときに、『源氏物語』の文体は1つではないということを非常に感じました。非常にユーモラスなことを書いているところもあちこちにあるのです。例えば、源典侍(げんないしのすけ)が出てくるところとか、近江の君が出てくるようなところです。それから、頭中将と源氏がバッティングしたり、「雨夜の品定め」というのも相当にユーモラスに書かれています。

 でも、いちばん爆発的におかしいのは、源氏が常陸宮の遺児である末摘花のところへ通っていって、その実際を見たときに腰を抜かしそうになる場面があるのですけれど、そこは、原文もものすごく面白おかしく書いてあるのです。おそらくそれを作者の女房が語ったら、それはもう場内爆笑、また爆笑というところだったと思います。

 そういう部分と、例えば葵の上が六条御息所の生霊(いきすだま)に殺されるような、いわゆるホラー小説のようなところは、全然違う文体で書かれています。だから、今日はその「末摘花」のところを読んでみてくれませんか。

キャンベル ムチャぶりですね(笑)。今手元にあるのは、タトルという出版社の文庫本で出ていますので、おそらくこれは日本の古本屋とか、そういうサイトやネットでしか買えないかもしれませんけれど、とても読みやすいのです。文字はおそろしく小さいので老眼鏡が必要かもしれませんけれど、これを久しぶりに、先程来、1時間ぐらい前から読み直していて、面白いのです。

 ウェイリーは、20世紀初頭のイギリス人の中流階級ですけれど、教育は超エリート(を受けていて)、あの人たちのユーモアというか、文体にぴったりです。だから、すごく脚色をたくさんしているのです。先ほどもいいましたけれど、このウェイリーは男たち...

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