『源氏物語』ともののあはれ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
本居宣長が喝破!『源氏物語』と和歌は本質的に同じ
『源氏物語』ともののあはれ(3)『源氏物語』の本質と本居宣長の画期
板東洋介(東京大学大学院人文社会系研究科 准教授)
光源氏の禁忌的な恋を描いた『源氏物語』。その物語を、日本の知識人はどのように理解し、批評してきたのだろうか。儒教や仏教の宗教的な教訓に導くことにその意義を見いだした言説が優勢な中で、「もののあはれ」、その深い感動こそが『源氏物語』の本質であると読み解いた本居宣長。その画期性を和歌との共通点も交えて解説する。(全5話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分14秒
収録日:2023年8月4日
追加日:2023年11月16日
≪全文≫

●儒教・仏教的な勧善懲悪の物語としての『源氏物語』解釈


―― まさに、そのような物語を本居宣長以前の知識人たちはどのように読んできたかということで、ここもいくつか、先生にピックアップいただいています。

 まず最初に先生が挙げてくださったのが、三条西実隆の『弄花抄』というところです。「大意は君臣父子夫婦朋友の道以て人に教ゆるなり(たいいは、くんしんふしふうふほうゆうのみちもってひとにおしうるなり)」とあります。

 北村季吟の『湖月抄』では、「されば、勧善懲悪と云ふ、是也。此の作者の本意、是也」というところでございますが、儒教的な雰囲気があります。

板東 これは儒教的な源氏の説明の仕方です。特に『弄花抄』のほうですけれども、光源氏のやったことは全てこの「君臣父子夫婦朋友」の道を全部逸脱したわけです。特に君臣は、要するに桐壺帝、自分の父親ですけれども、あくまで天皇、主君であって、光源氏は家臣ですので、その主君の妻を奪ったわけですし、かつ、それは父と子の関係としては間違いであるわけです。父親の後妻(こうさい)を自分が奪ったわけですし、夫婦の道ももちろん逸脱しているという形で、儒教的な道徳を全部侵犯しているわけです。

 だけれども、それは一種の反面教師であって、そういう意味では、最終的には満たされているけれど、満たされない失意の内に世を去ります。だから、悪い例を挙げて幸せになれないのだということを示しているということです。

 それは、北村季吟の語る勧善懲悪です。特によくいわれたのは、光源氏が父親の妻である藤壺の中宮を奪ったということの一種の因果応報として、光源氏自身の妻である女三宮を柏木という別の男に奪われるということが彼の晩年に生じますので、それが、本当に自分が悪いことをしたから同じことをやり返されたのだということです。だから、そういうことをするべきではないのだと、道徳的に悪人が破滅するところを描くことで、こういうことはしてはいけないと訓戒するというのが儒教的な説明です。

―― さらに先生に挙げていただいておりますのが、中院通勝(なかのいんみちかつ)という人の『岷江入楚(みんごうにっそ)』という書物です。「これによって盛者必衰・...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
『古今和歌集』仮名序を読む(1)日本文化の原点となった「仮名序」
『古今和歌集』仮名序とは…日本文化の原点にして精華
渡部泰明
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(1)1923年生まれの3人の作家
司馬遼太郎と日本人…まず遠藤周作、池波正太郎との比較で考える
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
山上憶良「好去好来の歌」を読む(1)山上憶良に学ぶ国際感覚
8世紀を代表する知識人・山上憶良が感じたグローバリズム
上野誠
深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(1)シェイクスピアの謎
シェイクスピアの謎…なぜ田舎者の青年が世界的劇作家に?
河合祥一郎

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾