徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
現実を律する者が一番偉い――徳川家康が重んじた儒教思想
徳川家康の果断と深謀~その指導者論・組織論(4)家康と儒教
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
それまで日本は仏教を重んじてきたが、徳川家康は儒教に重きを置いた。それは儒教が徹底したリアリズムであり、現実世界を治めるものがもっとも偉いのだとしたからである。そしてそれに加えて家康が取り入れたのが「東照大権現」だった。家康が日本の中で権威を獲得したそのシステムを解説する。 (2022年9月14日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「徳川家康の果断と深謀~その指導者論・組織論」より、全5話中第4話)
時間:15分15秒
収録日:2022年9月14日
追加日:2022年12月20日
≪全文≫

●古くから日本で親しまれてきた仏教


 家康と儒教の話に移りたいと思います。

 例えば武家の学問としては、藩校や林家、湯島の聖堂が知られています。それまでの、例えば足利もお寺は建てました。もちろん江戸幕府(徳川家康)もお寺をつくって大事にする、仏教を大事にするということはあったわけです。江戸幕府(徳川将軍家)にとって大事なお寺は、芝の増上寺ですね。または上野に寛永寺をつくる。もちろん仏教は大事だという形はつくるわけです。

 ですが、例えば室町幕府が一所懸命、京都にお寺を建てるとか、織田信長が延暦寺や本願寺と戦うなどを考えていただければ分かるように(「キリスト教を代わりに」とどこまで思っていたかはともかくとして)、日本の中世的な宗教の権威を徹底的に破壊し、その後どうするかというデザインを信長自身が十分に施す前に死んでしまった。豊臣秀吉の場合も「神仏を篤く」というところがあったと思います。

 これは源氏もそうです。鎌倉幕府はやはり仏教ですよね。日蓮が鎌倉幕府を丸ごと日蓮宗に帰依させようと政治的にいろいろと行い、失敗して流されたりするわけですが、やはりどちらかというと禅宗です。鎌倉の由緒正しいお寺を思い出していただければ、禅寺が多いわけです。禅で瞑想して悟りを得るという方向、武家の血みどろの抗争の中での悩みは禅の修行で祓うといった方向で、皆が禅宗に行くわけです。

 その前の平安時代の公家、あるいは皇族や天皇は、見てもらえば分かるように、上皇が法皇になったりします。仏門に帰依してお坊さんになるから法皇になるのです。あるいは、さらに遡っても、聖徳太子は仏教ですね。聖武天皇は、大仏や仏教による鎮護国家を目指す。『論語』は日本の古代のうちに入っていたわけですが、奈良時代、平安時代の朝廷も、鎌倉時代の鎌倉幕府も、南北朝時代も、室町時代も、織田も、豊臣も、儒教を重視するということはありませんでした。


●徳川幕府の時代、武家の学問は仏教ではなく儒教


 日本の中で儒教は、漢字と一緒に『論語』も入ってきたくらい古いし、儒教を勉強する人もいたわけですが、儒教が政治と結びついてきたことはありません。中国はそうだったわけです。中国の歴代の王朝は儒教でできていた。儒教(四書五経)をよく勉強し、皆がテストを受けて登用され、国家官僚になるのが中国の科挙のシステムです。

 日本...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
遊女の実像…「苦界?公界?」江戸時代の吉原遊郭の真実
堀口茉純
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑