徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論
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なぜ家康は東照大権現になったか…その意味と天海の狙い
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徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
江戸時代の「天下泰平」はいかに実現したのか。徳川幕府は約260年続いたが、武家政治としては源氏も北条氏も足利氏も実現できなかった長さを誇る。それを可能にしたのは、関ケ原の戦いに勝利したからではなく、徳川家康による国家統治の準備やデザインが優れていたからだと片山氏は言う。それはどのようなものなのか。その一つとして、まずは家康の「現場主義」について解説する。(2022年9月14日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「徳川家康の果断と深謀~その指導者論・組織論」より、全5話中第1話)
時間:13分23秒
収録日:2022年9月14日
追加日:2022年11月29日
≪全文≫

●「天下泰平」実現のため関ケ原での勝利より重要だった国家統治デザイン


 今回は最近、徳川家康のことでいろいろと気になることが多いので、家康というテーマを選びました。

 家康のやり方について、あまりこれを露骨にいうと、興を削ぐといいますか、それほど歴史をネタにして現代のことを語りたいのか、あるいは妙なバイアスが掛かり過ぎているのではないかと思われてしまってよくないので、本当は言わないほうがいいのですが、ここであえて言いましょう。

 最近の日本の天皇と政府、天皇と総理大臣の有り様を見ていると家康の時代と被せて考える(対比させる)といろいろと見えやすいこともあるなという思いがあります。そういったことで家康というテーマを選ばせていただいたわけですが、家康について通常出てくる話とはやや違った内容で、少しでも皆さまのご記憶に残るようになればいいかなと思い、プリント(資料)も用意させていただきました。

 最初に、家康、そしてその後の徳川幕府による天下泰平のデザインはどういうものであったかという問題提示をしています。これはその通りで、徳川幕府が一応、日本の歴史の中で、特に武家政治としては、源氏も北条氏も足利氏も豊臣氏も実現できなかったような長さを持ちました。

 また、内乱ということでは、鎌倉幕府、室町(足利)幕府の歴史を見れば、途中でいろいろなことがありました。特に室町幕府の時代は、治まっていない時期が長い。応仁の乱から後は、幕府が京都にあったとはいえ、将軍はいても国家を統治している形態にはあまりなっていない。室町時代、足利将軍の半分ほどはそうであったと言ってもいいくらいでした。それ以前も南北朝時代がありましたので、そうすると室町幕府の時代は、足利義満の前後くらいしか国内が乱れず統治していた時期がないともいえるわけです。

 そう考えると、徳川(江戸)幕府は、初代・家康から15代・慶喜まで、幕末に混乱はあるけれども、途中は大規模な内乱といえるものは島原・天草の乱くらいしかない。(江戸時代では)忠臣蔵の話などは有名ですが、赤穂浪士の話があれほど有名なのは、他に匹敵する話題がないからです。赤穂の浅野家がお取り潰しになり、吉良上野介のもとに仇討で40~50人の侍たちが討ち入りをしたという話が、今日に至るまで徳川幕府の時代の大き...

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