江戸時代を支えた大奥
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大奥のはじまり…春日局を悩ませた徳川家光の衆道好き
江戸時代を支えた大奥(1)生活空間としての大奥の確立
堀口茉純(歴史作家、江戸風俗研究家)
テレビドラマなどでも題材になることが多い大奥だが、その実態は、作品世界で描かれるような世界とは少し違っているようだ。社交や儀式の場となる「表」に対して、プライベートな空間として区切られた「奥」という空間。その最も規模の大きい江戸城の大奥が、江戸時代の天下泰平を築くうえでいかに重要な役割を果たしていたのかを解説していく。(全2話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:16分09秒
収録日:2023年8月21日
追加日:2023年10月15日
≪全文≫

●大奥はプライベートな生活空間として設けられた空間


―― 皆様、こんにちは。本日は堀口茉純先生に、江戸時代の大奥についての講義をいただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

堀口 よろしくお願いいたします。

―― 大奥といいますと、ドラマになったり、映画になったりというところで、一般にはやや淫靡でハーレム的な印象があるのではないでしょうか。綺麗どころの方がたくさんいらっしゃるようなものがあったり、男女逆転のものが描かれたり、いろいろな描かれ方をします。実際、歴史上の大奥というのはどういうものだったのかということで、ぜひお話をお聞きできればと思います。

堀口 はい。よろしくお願いいたします。

―― まず、なぜ大奥なのですか。

堀口 まず前提といたしまして、空間としての大奥のお話をしたいと思います。というのは、江戸時代以前から身分の高い方のお屋敷というのは、表と奥に分ける作りになっていたのです。

 表というのは儀式や対面で使われるオフィシャルな公共の場、ハレの場というような位置づけなのですが、奥というのは、それ以外のプライベートの日常生活を送る場ということです。その奥を取り仕切るのが通常、主の妻である正室と呼ばれる人たちでした。この正室のことを、奥を取り仕切っている人なので、奥方様というふうに呼んだのです。江戸時代になり、江戸城に大規模に作られた奥が大奥ということです。

 ちなみに、大奥の場合、一番上に立つのは将軍の正室である方ですが、この場合は奥方様ではなくて御台様(みだいさま)とか御台所様(みだいどころさま)というふうに呼びます。

 御台所というのは、お食事を用意する台所に尊称の「御」がついた言葉ですので、やはりプライベートな日常生活にすごく密着したスペースで、そこの長に対する尊称だということになります。

―― 昔は、とくに女性は典型的にそうだと思いますが、名前をそのまま呼ぶのは失礼ということになりますよね。ですから、例えば御台所のように、その場所の名称で言ったりするのですね。

堀口 そうですね。直接お名前をお呼びするということは、もうありえないことです。

―― 「おい家康」などというのは絶対ないですよね。

堀口 絶対ないですよね。

―― 上様とか殿とか、それぞれの各大名にも言っていますし、その延長線として奥という言葉もあれば...

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