徳川将軍と江戸幕府の軌跡~吉宗編
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
8代将軍・徳川吉宗はなぜ大奥で非常に評判が良かったのか
徳川将軍と江戸幕府の軌跡~吉宗編(2)統治経験と大奥
8代将軍・徳川吉宗には若い頃、立派な領主としての統治経験があった。一方、非常に好奇心旺盛で、生活感覚も持ち合わせていた。そんな吉宗は大奥でも非常に評判が良かったという。影響を与えたのは母親である浄円院だろうと山内昌之氏は語る。(全5話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:6分36秒
収録日:2020年1月7日
追加日:2021年7月17日
≪全文≫

●将軍になる前に統治経験を重ねていた


―― 徳川吉宗が将軍になったのは、何歳くらいだったでしょうか。

山内 将軍になったのは、30代だったと思います。ですから、すでに統治経験を重ねていたわけですね。

―― 紀州藩主になってから10年ほどたっていたわけですね。

山内 彼が直接出かけたという記録はありませんが、越前にある丹生郡という三万石の土地を、徳川綱吉から貰っています。

 吉宗自身は「部屋住み」だったのですが、長男(吉宗の長兄)の綱教は綱吉の娘婿だったものですから、その弟(徳川頼職・吉宗のすぐ上の兄)を召したんですね。そして、(その頼職に)越前丹生郡内の三万石の土地を与えました。

 当時、綱吉の傍に控えていた老中・大久保忠朝(ただとも)が、「紀州殿は子福者(子だくさん)で、しかも皆、優等生でいらっしゃる」と言ったら、隣の部屋にいた頼方(のちの吉宗)が現れてきた。そしてすぐ上の兄と同様に越前丹生郡内に三万石を与えられたという。

 吉宗はこれを徳として、老中・大久保忠朝の子どもである若年寄・大久保忠増に、「そちの父には世話になった」と義理を忘れず、五千石を加増した、という話があります。

―― 立派な人ですね。

山内 いずれにしても、そこで頼方改め吉宗は、三万石の時、つまり若い時から立派な領主として統治経験をしていた。また、贅沢感覚はない。

 それから、紀州に帰って部屋住みの時も、彼が好きだったのは魚釣りです。さすがに公然と「生類憐れみの令」を破ることはせず、好きだったはずの鷹狩りなどは抑えます。ですが、紀州の豊富な川、それから近くは南国世界の海ですから……。

―― クジラなどが捕れますね。

山内 クジラは土佐が有名ですが、紀州でも大物とまではいかないけれども、捕れます。とにかく、海釣り、河釣りをやっている。そういうところで魚の名前を覚えたり、植物や木々のありとあらゆる名前を覚えたり、薬草が薬や食糧になることなどを実地で分かっている人間なのです。

―― 吉宗は、ものすごく好奇心があったのですね。

山内 好奇心があって、生活感覚もあったわけです。そういった経験を持った将軍は、徳川家康以外では初めてです。家康は、若い時に辛酸を舐めて苦労しています。2代将軍・秀忠は、基本的には大大名徳川の子息として育っていく。そういったことから、まさに「上から目線」とは反...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
AIとデジタル時代の経営論(6)暗黙知と判断力
AIは「暗黙知・常識に基づく高度な判断」が不得意
一條和生
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦