徳川将軍と江戸幕府の軌跡~吉宗編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
東京の桜の名所は徳川吉宗がつくったものだった
徳川将軍と江戸幕府の軌跡~吉宗編(3)吉宗神話が生まれた背景
8代将軍・徳川吉宗は、「下から目線」、つまり庶民からとても評判のいい人間であった。その理由は、まさに吉宗が庶民感覚のわかる人間だったからである。吉宗が江戸各地に庶民たちのために行った施策と、その思いに迫る。(全5話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:7分24秒
収録日:2020年1月7日
追加日:2021年7月24日
≪全文≫

●東京の桜の名所は吉宗がつくった


山内 本題に戻ると、「下から目線」つまり下の人間たちの間に、(全て実像であったかは疑わしいけれども)一種の吉宗伝説、吉宗神話、あるいは吉宗ファンをつくったということです。吉宗は政治家ですから無駄なことはしないけれど、ただそれは政治的な方角だけではなく、為政者として庶民の日々の生活に潤いを持たせることが政治を安定させる大きな基礎的な条件になる、ということを知っていたのです。

 それは、どうしてか。例えば、現在でいう東京都北区の飛鳥山、小金井、地名はなくなってしまったけれど北一輝の豪邸があったことで知られている中野桃園町は、桜の名所です。それから隅田川に面しているところに木母寺(もくぼじ)がありますが、そもそも隅田川に沿ってある桜の木は誰が植えたのか。また南でいうと、御殿山があります。もともと御殿山は桜の名所でした。これら桜の名所をつくったのは、基本的に吉宗なのです。

―― それはすごいことですね。

山内 なぜ、こういうものをつくったのか。庶民たちが、家族あるいは友人や仲間たちと一緒に、休みの日などに憩いや家族の団欒で出かけていき、みんなで花見をしたり、あるいは梅を見たり、桃を見たり、柳を見たりする。特に春の季節は桜を見る。これらは、人々の心を和ませる。そして、家族のつながりを豊かにし、絆を強く固くしていく。そういった場所になるのです。

 そこに茶店などの商いが出て、花を見ながら、酒盛りや食事をする。屋台が出て、おでんを食べる。当時は、綿あめがなく、水あめがありました。

―― 水あめだったのですね。

山内 水あめに類するものがあり、吉宗自身も水あめは好きでした。晩年、老年になっても、薬と同じような感覚で水あめを食し、おいしい水あめがきたときは顔をほころばせて非常に喜んだそうです。

 そういうものを庶民たちもまた、屋台や茶屋、茶店などで楽しむ。そのような空間を、北区の飛鳥山、御殿山、それから中野、小金井、隅田川といったところにつくって、整備していったのです。

―― 庶民を楽しませることが大事だという。

山内 そういった感覚ですね。


●庶民が「幸福感」を感じられる場所に


―― (吉宗は庶民を楽しませるのが)うれしかったのですね。

山内 うれしかったと思います。しかし、吉宗は何も計算してなかったわけではありません...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
オスマン帝国とは何か~その繁栄と共生の秘密~
オスマン帝国とは何か?その繁栄の理由
山内昌之
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(1)なぜ満洲が重要だったのか
放っておけば朝鮮はロシア領になりかねなかった
渡部昇一
『江戸名所図会』で歩く東京~日本橋 (1)日本橋に見る徳川家康の手腕
徳川家康と江戸の町づくりー江戸時代の「日本橋」の姿とは
堀口茉純
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(4)アレクサンドル・ネフスキーの英雄化
ロシアの英雄「アレクサンドル・ネフスキー」はなぜ英雄か…ドイツ騎士団と戦った歴史がどう利用されたか
上月豊久
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
「発想力」の技法を学ぶ(1)発見と探究(前編)
“なぜ”を繰り返せ!『発想力の全技法』に学ぶ原因探究法
三谷宏治
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(5)サルコペニア・フレイル対策
認知症予防にはどんな食事がいいのか?鍵はビタミンDの充足
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(4)蒙古襲来と清朝建国
実は元寇はモンゴル人ではなかった?満洲をめぐる民族興亡史と「漢族」との関係…蒙古襲来から清朝建国まで
宮脇淳子
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆