ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
江戸幕府が260年続いた理由…平和な世に暴君をつくらず
ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰(4)法とリテラシー
組織や国家の中興期では、秩序を守る手立てがクローズアップされる。そのために法が整備される一方、民衆のモラルを高める方法が問われていく。ローマ法で著名なローマの歩みと「ご法度」が威力を発揮した江戸を重ね、識字率の秘密にも触れていく。(全8話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:16分14秒
収録日:2019年8月6日
追加日:2020年1月9日
≪全文≫

●平和な世の中に増えた浪人をどう取り締まるか


── 大衆化や民衆化の時代がやって来ると、一方で退廃化というか、だんだん(秩序が)乱れてきたり、政治に関しても浮き足立つことが増えると思います。そのままおしまいになっていく国家は歴史上いくらでもあるわけですが、江戸やローマは比較的うまく立て直しを図り、続行してきたイメージがあります。日本の、特に江戸幕府の場合はどうだったのか、中村先生にうかがいたいのですが。

中村 江戸初期、徳川秀忠と徳川家光の二代にわたって大名家を改易しすぎたために、浪人がかなりの数、発生してしまいました。浪人になると飯が食えないので、東海道筋では箱根の関所、日光街道では関所のない今市と日光の間あたりに彼らが盤踞して、盗人(盗賊)になるわけです。

 そういうことが非常に社会不安を与えるので、保科正之や知恵伊豆(松平信綱)が老中職についていた頃は、浪人をこれ以上増やさない方針にしました。しかし、すでに世に出た浪人たちをどうするかも問題になりました。

 まずは幕府がいろいろな大名や御家人に推薦して、「あの浪人はなかなかいいから採用しなさい」と雇用促進を行うのです。それで、あまり採用希望者が出てこないような、少し言葉は悪いけれど「タマの悪い」浪人には、今でいう住民票みたいなものを発行します。「何丁目何某方」の地面に住んでいる「何の誰兵衛」と住居を特定しておくと、由井正雪の乱みたいな事件があったときに、そこに参加したのが誰かがすぐ分かります。

 そういった安全装置を、保科正之の代あたりからつくり始めるんですが、中期あたりまではそれで回せたものの、幕末になるとお手上げです。何しろ思想犯が脱藩しだしたので、これは残念ながら抑えようがなく、混乱した状態になったわけです。


●「市民」の成立と民法の関係


中村 ローマ史が日本史とまったく違うのは、市民たちが最初から重装歩兵として戦場に行き、それによって自らの発言権を高めたようなところですね。それが傭兵の時代になってくると、上の命令を聞かない危険な者や逆に親分子分の関係で動いてしまうような者も出てくる。どちらも危険です。日本の場合、いわゆる市民層が育たなかったのです。そこが、江戸史では少し残念なところです。市民という意識が出るのは明治以降の話になってしまいますからね。

── たしかに市民という感覚で...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹

人気の講義ランキングTOP10
AI時代と人間の再定義(3)Human Co-becomingと存在神学への対抗
耳障りな言葉がポイント!?新しい概念を生み出すチャンス
中島隆博
これからの社会・経済の構造変化(2)経済的利益と社会課題解決の両立へ
利益か社会課題解決か…かつての日本企業の美点を取り戻せ
柳川範之
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1
ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?
渡部泰明
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(8)秀長の死の影響と秀吉政権の瓦解
「家康対奉行」の構図は真っ赤な嘘!? 秀吉政権瓦解の真相
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
医療から考える国家安全保障上の脅威(5)日本の医療の問題点と提言
なぜ日本の医療はテロに対応できないのか?三つの理由
山口芳裕
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
第2次トランプ政権の危険性と本質(8)反エリート主義と最悪のシナリオ
最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか
柿埜真吾