ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰
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日本が「外交下手」といわれる理由を幕末から読み解く
ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰(6)衰退の原因
ローマ帝国の衰亡は世界史の重要テーマだが、経済・国家・文明の衰退と変質によって読み取るべき出来事だと本村凌二氏は言う。江戸から明治維新への流れに、大きな外圧と薩長などの内圧の両面を見る必要があるのと同様だ。両者の“白鳥の歌”はいかに。(全8話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:17分27秒
収録日:2019年8月6日
追加日:2020年1月23日
≪全文≫

●キリスト教によって滅びたとみなされたローマ帝国


── 前回までは、江戸とローマがなぜ長く保ったかというお話でしたが、さしものローマや江戸もだんだん衰退に向かう局面となります。それだけうまい仕組みをつくっていた二つの国というものが、なぜ衰退していってしまうのかというところですが、本村先生はどのようにお考えですか。

本村 ローマ帝国の衰亡については、エドワード・ギボン以来、あるいはそれ以前から常に話題になりました。313年にコンスタンティヌスが出したミラノ勅令を皮切りに、紀元3世紀末から4世紀はキリスト教が公認されていく時期です。その世紀の末に、他の異教の神殿はみんな閉鎖しろというような、事実上の国教化といわれることが起こるわけです。ですから、同時代の人たちがなぜローマはこんなに衰えたのかというと、異教徒たちやキリスト教のせいにするんですよ。キリスト教みたいな宗教が増えるからこうなるんだというわけです。

 実際、キリスト教は今でこそ一神教の代表になっていますけれども、ローマ帝国の大きな流れで見ると、やや異質です。ローマ帝国は多くの神々の宗教を公認していました。「君たちがどんな神々を拝んでも構わない。だけど、ローマの神々も認めなさい」という考えを表現したのがパンテオン(万神殿)で、全ての神を崇める場所でした。自分の神を崇めていい、他の神は崇めなくてもいいから否定するな、というのがローマ人の考えだったわけです。

 ところが、キリスト教はそれをやってしまう。他の神々を否定しますからね。古代ローマ人の意識に戻れば、神々を否定するキリスト教徒は無神論者に見えるんです。当時の人には考えられないようなことをキリスト教がやるため、相当な軋轢があった。弾圧されるのが当たり前じゃないかと、私などが思うぐらいのことです。ただ、それをなぜローマ帝国が受け入れていったのかというのが、一つ、大きな問題としてあると思います。


●地球寒冷化のもと、ローマはゲルマン「移民」問題に直面した


本村 ちょうど同じ時期に、ゲルマン民族の移動が始まったりしています。これは元を正すと何なのかというと、多分気候変動が大きいんじゃないかと思うんですね。おそらく4~5世紀にかけて地球的な規模で寒冷化が起こっていたことが、割に明らかにされてきました。それで、北のほうにいた人たちが南のほうに移動してくるという...

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