ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
日本が「外交下手」といわれる理由を幕末から読み解く
ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰(6)衰退の原因
ローマ帝国の衰亡は世界史の重要テーマだが、経済・国家・文明の衰退と変質によって読み取るべき出来事だと本村凌二氏は言う。江戸から明治維新への流れに、大きな外圧と薩長などの内圧の両面を見る必要があるのと同様だ。両者の“白鳥の歌”はいかに。(全8話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:17分27秒
収録日:2019年8月6日
追加日:2020年1月23日
≪全文≫

●キリスト教によって滅びたとみなされたローマ帝国


── 前回までは、江戸とローマがなぜ長く保ったかというお話でしたが、さしものローマや江戸もだんだん衰退に向かう局面となります。それだけうまい仕組みをつくっていた二つの国というものが、なぜ衰退していってしまうのかというところですが、本村先生はどのようにお考えですか。

本村 ローマ帝国の衰亡については、エドワード・ギボン以来、あるいはそれ以前から常に話題になりました。313年にコンスタンティヌスが出したミラノ勅令を皮切りに、紀元3世紀末から4世紀はキリスト教が公認されていく時期です。その世紀の末に、他の異教の神殿はみんな閉鎖しろというような、事実上の国教化といわれることが起こるわけです。ですから、同時代の人たちがなぜローマはこんなに衰えたのかというと、異教徒たちやキリスト教のせいにするんですよ。キリスト教みたいな宗教が増えるからこうなるんだというわけです。

 実際、キリスト教は今でこそ一神教の代表になっていますけれども、ローマ帝国の大きな流れで見ると、やや異質です。ローマ帝国は多くの神々の宗教を公認していました。「君たちがどんな神々を拝んでも構わない。だけど、ローマの神々も認めなさい」という考えを表現したのがパンテオン(万神殿)で、全ての神を崇める場所でした。自分の神を崇めていい、他の神は崇めなくてもいいから否定するな、というのがローマ人の考えだったわけです。

 ところが、キリスト教はそれをやってしまう。他の神々を否定しますからね。古代ローマ人の意識に戻れば、神々を否定するキリスト教徒は無神論者に見えるんです。当時の人には考えられないようなことをキリスト教がやるため、相当な軋轢があった。弾圧されるのが当たり前じゃないかと、私などが思うぐらいのことです。ただ、それをなぜローマ帝国が受け入れていったのかというのが、一つ、大きな問題としてあると思います。


●地球寒冷化のもと、ローマはゲルマン「移民」問題に直面した


本村 ちょうど同じ時期に、ゲルマン民族の移動が始まったりしています。これは元を正すと何なのかというと、多分気候変動が大きいんじゃないかと思うんですね。おそらく4~5世紀にかけて地球的な規模で寒冷化が起こっていたことが、割に明らかにされてきました。それで、北のほうにいた人たちが南のほうに移動してくるという...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(1)キスカ島撤退作戦
5200人の将兵を救え…米軍も称賛した「キスカ島撤退作戦」の奇跡
門田隆将
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
20世紀前半の日中関係~この歴史から何を学ぶか(1)
極東の小国が旧超大国・清に挑戦した日清戦争
島田晴雄
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(17)「過剰な良かれ」の落とし穴
【10minで考える】巨人・阿部監督の辞任と「過剰な良かれ」
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
老荘思想に学ぶ(3)「過度」を戒める「道」の思想
実力、実質を伴わずにやり過ぎるのは愚の骨頂である
田口佳史
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
ウェルビーイングを高めるDE&I(5)心理的安全性の高い組織づくり
無知、無能、邪魔!?…心理的安全性を阻害する5つの要因
青島未佳
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
AI時代と人間の再定義(7)AIと倫理の問題と法整備の可能性
人間のほうがAIに寄ってしまう?…関係性と倫理のあり方
中島隆博