江戸とローマ~図書館と貸本屋
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
カラカラ浴場、トラヤヌス浴場…そこにローマの図書館が!
江戸とローマ~図書館と貸本屋(3)写本と朗読
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
古代ローマの高い識字率は、残念ながら中世ヨーロッパには受け継がれなかった。それだけ古代ローマは余裕のある時代だったということだ。活版印刷がない時代ゆえ、写本で文字を読むわけだが、少部数しか流通しない写本は朗読や図書館で主に音として伝えられた。一方、時代は下るが、江戸期の木版印刷は特殊な文化といえる。(全5話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分48秒
収録日:2021年6月16日
追加日:2022年7月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●ローマの読み書き能力を受け継がなかった中世


本村 それ(古代ローマ)と比較すると、中世はずいぶん劣って、王侯貴族でさえあまり読み書きができなかったといわれています。たった20数文字しかないのに、です。王侯貴族の中に「俺は読み書きができる」とアピールしている人もいたぐらいで、逆にできない人が多かった。

 彼らは、もともと言葉は音だという意識が強かったのでしょうか。殿様であっても誰かが本を読んでくれれば、それでいいのです。そういう人々がいるから、読みたければ読んでくれるし、書きたい言葉は書き留めてくれる。そのような、比較的専門の読み書きができる者たちがいたため、中世ヨーロッパは結局それで通ってきました。

 ルネッサンス期に入るとまた別で、やはり活版印刷ができたことが非常に大きな転換期になると思います。それまでは修道院の人々を中心に読み書きが独占され、ローマ時代と比べると、王侯貴族も庶民レベルもガタッと落ちるような状況でした。

 そういう中にあって、ローマ時代の貴族はもちろん読み書きができ、ギリシア語までできたというのは、卓越したことです。カエサルなどにしても、みんなギリシア語を話したり読んだりしていたわけです。もちろん得意・不得意はあったでしょうが、われわれの時代でいえば、英語がある程度できることが一つの素養になっているのと同じようなレベルのことです。

 そのようなことは中世ヨーロッパにはなかったと思います。古代のほうがむしろできたということで、それは文化レベルが中世ヨーロッパより古代で高く、それだけの余裕があったことの一つの証だったといえるのではないかと思います。


●音声の比重が高かった欧米の言語


―― 中世の場合、識字率が低かったからこそ、例えば教会の神父様の説教ともいえるお話を毎週日曜日にそこへ行って聞くということで、そういった世界というのは、劇を観たり朗読会に行って内容を知ったりするのと同じように、文字が分からなくてもその話が理解できるということですね。

本村 それは、そうです。教会のステンドグラスなどには、イエスの物語や聖人君子にまつわるものが多数あります。誰かがそれを読み解いて話して聞かせ、それを有難がる。そのように、欧米の言語は基本的に音声の比重が非常に高いような気がします。

―― そのように、識字率が高くないことを前提に作られた...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
独裁の世界史~ギリシア編(1)世界史の始まり
「独裁政から始まる」という世界史の諸相に迫る
本村凌二
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(1)なぜ日本人は突入できたのか?
福島第一原発事故…日本の危機と闘った吉田昌郎と現場の人々
門田隆将

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(7)若者の引きこもりと日本の教育問題
日本の引きこもりの深い根源…「核家族」構造の問題とは?
與那覇潤
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
「同盟の真髄」と日米関係の行方(7)トランプ氏の評価とその実像
こりごり?アイ・ラブ・トランプ?…トランプ陣営の実状は
杉山晋輔
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
『貞観政要』を読む(2)著作に登場する人物たち
房玄齢・杜如晦・魏徴・王珪―太宗の四人の優れた側近
田口佳史
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(2)“変わり者”の生かし方と後継者選び
「人材の組み合わせ」こそ「尖った才能」を輝かせる必勝法
水野道訓
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己