米国システムの逆襲~解放の日と新世界秩序
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グローバル主義が全ての元凶…トランプ政権がめざすのは?
米国システムの逆襲~解放の日と新世界秩序(1)米国システム「解放の日」
政治と経済
東秀敏(米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー)
第二次トランプ政権は、その関税政策を発動させた日、4月2日を「解放の日」と称した。そこには、アメリカが各国の面倒を見るという第二次世界大戦以降の構図が、アメリカに損害をもたらしているという問題意識がある。「解放の日」の宣言に宿る、米国システムを再び取り戻すというトランプの理念に迫る。(全3話中第1話)
時間:10分14秒
収録日:2025年4月25日
追加日:2025年5月20日
カテゴリー:
≪全文≫

●「解放の日」が意味する米国システム復活への意志


 米国大統領制兼議会制研究所(CNPC)の上級フェローを務めております、東と申します。よろしくお願いします。

 今回は「米国システムの逆襲」という題目です。(2025年)4月2日に「解放の日」と名付けられた関税の発動日があったのですけれど、それと今後のアメリカが思い描く新世界秩序に関して話したいと思います。よろしくお願いします。

 まず、この画像を見ていただきたいのですけれど、これが(2025年)4月2日にトランプ大統領ご自身がSNSで発信した内容でして、アメリカの解放の日だということを全世界に向けて発信しました。

 ここで問題提起として私が挙げたいのが、この4月2日の解放の日というのをトランプ政権の人たちがどういうふうに認識しているのか、つまり彼らの問題意識とは何か、そして彼らの思い描く解決策、つまり彼らのゴールを考察していきたいと思います。

 そして、それをもって、解放の日の戦略的意義を日本に対する含蓄も含めて考察していきたいと思います。

 まず、この解放の日(Liberation Day)なのですけれど、この意義は単なる保護主義の台頭に限定されないもので、彼らトランプ政権の人たちが持っている問題意識として、第2次世界大戦後の米国主導の国際秩序が全ての元凶であると、第2次世界大戦以降の米国主導の国際秩序の構造というのは、アメリカが全世界の面倒を見るという構造に帰結するのです。これでアメリカが損をしているという、(つまり)単純に損得勘定の観点から見ると損をしているという被害意識があり、これが問題意識として現政権内に存在します。

 彼らが提案する解決策、つまりゴールともいえるのですけれど、これは一言でいいますと、米国システム(ザ・アメリカンシステム)というものがあり、これを復活させるということです。これは19世紀に実際に当時のアメリカ政府が唱えた経済政策であるのです。後に詳しく見ていきますが、簡潔にいいますと、米国システムとは米国第1主義、つまりアメリカファーストの経済学に立脚してアウタルキー、つまり閉鎖経済を目指すというものです。

 今までこういう発想...

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