「同盟の真髄」と日米関係の行方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
アメリカは日本の意見を求めている…きちんと旗を立てよ
「同盟の真髄」と日米関係の行方(8)(質疑)アメリカは日米同盟を捨てるか?
杉山晋輔(元日本国駐アメリカ合衆国特命全権大使)
アメリカでは日本との同盟関係についてどのように考えているのか。そこでポイントとなるのは、日本の対中政策である。軍事的な緊張が増している今般の世界情勢の中で、日米の信頼関係を維持するために重要なのは、中国に対して日本がどんなスタンスを取るのか、そこをアメリカにきちんと示すことにある。最終話の今回は講演終了後の質疑応答編。(全8話中第8話)
時間:7分21秒
収録日:2024年4月23日
追加日:2024年7月31日
カテゴリー:
≪全文≫

●数字に大雑把だがとても勘のいいトランプ氏


【質問】
―― アメリカ政府やアメリカ国民は、日本をどの程度、同盟の相手として尊重してくれるのでしょうか。また、以前にトランプ氏が大統領になった時、「日米同盟を見直す」と発言されたことがありました。アメリカ人からすれば、「そんなものに税金を使う必要があるのか。条約を維持する必要があるのか」と考えるようになることはないのか。つまり、日米安全保障条約を、私たちはどの程度、信頼してよいのでしょうか。

杉山 後段の方から行くと、私はいろいろなところで話していますが、なぜ安倍さんがトランプさんにとってよかったかというと、大統領に就任する前に、(2016年)11月にトランプタワーに行って、90分話したことが非常によかったのです。

 それから、最初の首脳会談、(2017年)2月9日にホワイトハウスで、それからマー・ア・ラゴに行って、27ホールのゴルフがあった時です。あの時はまだ政権が立ち上がったところで、TPP離脱で経済をどうするかが非常に大きかったのですが、安保のほうはそれなりにまとまったのです。「本当にこの人は分かっているのかな」と(思っていたのですが)、すんなりまとまってしまったのです。

 あの時はスティーヴ・バノンという人がいて、今は国家安全保障会議(NSC)に行かれた秋葉剛男さん(現・国家安全保障局長)が(当時)担当の外務審議官だったので行って、全部やってくれたのですけれど、大丈夫かと確かめてもらったら揉めて、最後にバノンがトランプさんに言って「もういいよ」ということになるのです。

 なぜ「いいよ」ということになったか。本当に中身を分かっているのかなと思ったのは、「これ、誰が書いた?」と。「いやいや、日本側の提案なのだけれど、うるさいからこれでもうしょうがない、まとめますからね」と言ったら、「だから、誰が書いたのだ」と言うから、「日本です」と言ったら、「そうか、(安倍)晋三が書いたのか」と。「そうです」と言うと、「おお。晋三が書いたのだったらいいよ」と言って、中身を読んでいないのだと思うのです。

 だからそれは、申し上げるのはあれですけれど、ヨーロッパの首脳と彼がうまくいかなかった。ヨーロッパの首脳はだいたいそうですが――ボリス・ジョンソンさんはそうではなかったかもしれないけれど――あとの首脳、典型的にはメルケルさんですけれど、もの...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥