「同盟の真髄」と日米関係の行方
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
日本が中心?…東アジアの安全保障は「ラティスライク」に
第2話へ進む
世界の紛争…アメリカの空母機動部隊は3正面で戦えるのか
「同盟の真髄」と日米関係の行方(1)日本を占う3つの選挙と軍事作戦
政治と経済
杉山晋輔(元日本国駐アメリカ合衆国特命全権大使)
2024年は日本にとって重要な選挙が3つある。それは1月に行われた台湾総統選、4月の韓国総選挙、そして11月のアメリカ大統領選である。これらの選挙結果は、ロシア・ウクライナの戦争や、ガザ地区での紛争が収束の気配を見せない中で、台湾海峡をはじめとした東アジアの緊張が高まった場合に、日本にとって直接的な影響を及ぼす。今回は、特にアメリカの軍事的な動向に着目し、日本に訪れうる危機を考える。(全8話中第1話)
時間:8分19秒
収録日:2024年4月23日
追加日:2024年6月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●もし世界の「3正面」で戦闘が起こったら?


 杉山でございます。今年(2024年)は、もう半分近く経ちましたけれど、皆様方がよく言っている選挙の年です。いくつも選挙がある年ですけれど、あえて単純化していうと、日本にとって最も関心があるのは3つです。

 1つが1月13日の台湾の総統選、あるいは立法院の選挙です。もう1つが与党の惨敗で終わった韓国の議会の選挙です。そして、それらを踏まえても、なんといっても(皆様方もそうだと思いますけれど)、われわれも最も注目しているのが11月5日のアメリカの大統領選挙です。(また、)下院は全員変わりますし、上院は3分の1の選挙です。(これは)2年に一度で、大統領は4年に一度の選挙ということであります。今申し上げたように、あえて単純化していうと、日本から見て関心があるのは、台湾、韓国、そしてアメリカの3つの選挙です。

 それから、ロシアの軍事侵攻が2022年の2月24日から始まって、2年以上たったウクライナとの戦闘。これはあとで少し触れますけれど、とても収束の気配もなく、どうなるか分かりません。

 そして、(2023年)10月7日の、まだ映像(の記憶)が新しい、ハマスによるテロです。その後のガザとイスラエルの戦闘に加えて、この間、イランがおそらく史上初といわれている、イスラエルの領域に直接攻撃をするということで、これが拡大したら中東方面は本当に大変だという状況になると思います。

 そういう2つの戦闘が同時に行われるときに、端的にいえば台湾海峡、それから朝鮮半島ということだと思いますけれど、もし東アジアで戦闘が起こったとしたら大変です。


●アメリカの軍事的な力を象徴する空母機動部隊


 アメリカの、特にペンタゴンの人たちに聞くと、「自分たちは世界の警察官をやる用意はだんだんなくなっている」ということはあるけれど、まだ軍事的には国際社会全体で、3つの戦闘が起こっても対応ができるというのが、戦闘能力からすればおそらくそうなのかもしれませんし、象徴的なのは海軍力、特に空母機動部隊の数です。アメリカの空母機動部隊というのは、公表されているだけでも、大型の航空母艦に少なくとも原子力潜水艦が1つ、それから巡洋艦とか駆逐艦とかイージス艦で周りを取り囲んでいます。

 ご案内の通り、「Aircraft Carrier Task Forces」(空母機動部隊)というのは、地上の軍基地が面でずっと海上...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
松下幸之助の人づくり≪3≫理想の政治(1)国家に経営理念があれば、もっと日本は発展する
無限の可能性に挑め…国家経営を創造し、新時代の憲法を!
松下幸之助

人気の講義ランキングTOP10
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(6)習近平のレガシー
国力がピークアウトする中国…習近平のレガシーとは?
垂秀夫
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ
編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?
学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
クーデターの条件~台湾を事例に考える(4)クーデター後の民政移管とその方策
軍政から民政へ、なぜ李登輝はこの難業に成功したのか
上杉勇司
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
大人の学び~発展しつづける人生のために(1)「Unlearn(アンラーン)」とは何か
見方を変える!生き方を変える!そのためのアンラーン
為末大