●もし世界の「3正面」で戦闘が起こったら?
杉山でございます。今年(2024年)は、もう半分近く経ちましたけれど、皆様方がよく言っている選挙の年です。いくつも選挙がある年ですけれど、あえて単純化していうと、日本にとって最も関心があるのは3つです。
1つが1月13日の台湾の総統選、あるいは立法院の選挙です。もう1つが与党の惨敗で終わった韓国の議会の選挙です。そして、それらを踏まえても、なんといっても(皆様方もそうだと思いますけれど)、われわれも最も注目しているのが11月5日のアメリカの大統領選挙です。(また、)下院は全員変わりますし、上院は3分の1の選挙です。(これは)2年に一度で、大統領は4年に一度の選挙ということであります。今申し上げたように、あえて単純化していうと、日本から見て関心があるのは、台湾、韓国、そしてアメリカの3つの選挙です。
それから、ロシアの軍事侵攻が2022年の2月24日から始まって、2年以上たったウクライナとの戦闘。これはあとで少し触れますけれど、とても収束の気配もなく、どうなるか分かりません。
そして、(2023年)10月7日の、まだ映像(の記憶)が新しい、ハマスによるテロです。その後のガザとイスラエルの戦闘に加えて、この間、イランがおそらく史上初といわれている、イスラエルの領域に直接攻撃をするということで、これが拡大したら中東方面は本当に大変だという状況になると思います。
そういう2つの戦闘が同時に行われるときに、端的にいえば台湾海峡、それから朝鮮半島ということだと思いますけれど、もし東アジアで戦闘が起こったとしたら大変です。
●アメリカの軍事的な力を象徴する空母機動部隊
アメリカの、特にペンタゴンの人たちに聞くと、「自分たちは世界の警察官をやる用意はだんだんなくなっている」ということはあるけれど、まだ軍事的には国際社会全体で、3つの戦闘が起こっても対応ができるというのが、戦闘能力からすればおそらくそうなのかもしれませんし、象徴的なのは海軍力、特に空母機動部隊の数です。アメリカの空母機動部隊というのは、公表されているだけでも、大型の航空母艦に少なくとも原子力潜水艦が1つ、それから巡洋艦とか駆逐艦とかイージス艦で周りを取り囲んでいます。
ご案内の通り、「Aircraft Carrier Task Forces」(空母機動部隊)というのは、地上の軍基地が面でずっと海上...