民主主義の本質
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう
民主主義の本質(5)民主主義を守り育てるために
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
ポピュリズムや権威主義的な国家の脅威が迫る現在の国際社会。それに対抗し、民主主義的な社会を堅持するために、国際社会の中で日本はどのように振る舞うべきか。議論を進める前提として大事なのは「歴史から学ぶ」ことである。その上で、異なる歴史や文化的背景を持つ国々が連帯して民主主義的な世界を築き、それを守り育てるための方途を考える。(全5話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分44秒
収録日:2024年2月5日
追加日:2024年4月23日
≪全文≫

●言論を育てるために必要な「負ける」経験


―― 話題を変えますと、先生からポピュリズムについてのご批判がございましたが、これもご指摘のあったように、アメリカでもそういうような気配が濃厚になってきておりますし、ヨーロッパでも同じような形になってきているというところで、なぜ今の時代はこんなにポピュリズムなのでしょうか。

橋爪 それは情報の変化で、情報がインターネットになると、言論の中心がなくなるわけです。中心がなければ、言論の戦いができないのです。これがいちばんのポイントです。だから中心がなくても、言論が戦っていれば、希望はあるのです。言論は戦うためのものです。今、「論破」とかいって、戦う前から勝負がつくみたいなものが多いではないですか。

―― それは、議論ではないですね。

橋爪 そうです。

 議論というのは負ける覚悟をしないとできません。勝たなければいけないと思っていたら、議論しないのがいちばんです。負けることの中から大きな学びがあるわけだから、小学校、中学校のころから議論をして、自分の意見を持って、そして議論して、負ける。(これは)ディベートではないですよ。ディベートは技術を磨くだけです。そうではなくて、自分が確信している言論で負けるということです。2人でやれば、2回に1回は負けるわけです。

 こういう経験をたくさん積まないと民主主義は育たないと思います。そういう練習をするプログラムをつくって、学校の先生がちゃんとやるというのは大事です。

―― たしかに教育でも、一時期、ディベートのようなものが流行って、これは好き嫌いとかではなくて、どちらかの立場にあえて分かれて議論するとか、そういうことも行いましたが、本当の議論というのは、自分の確信しているものについてやらなければいけないということですね。

橋爪 ディベートもやってもいいのです。それはプロとしてはそういう技術は必要です。だけれど、普通の人は、ディベートをやらなくても議論さえすればいいのです。

―― 分かりました。


●国どうしが連帯して権威主義に抵抗していかなくてはならない


―― 最後に、民主主義への挑戦といいますか、冒頭のところで、先生から、これまでに考えられた制度の中の最善のものだというお話がありました。その制度が、いろいろなところで壁にぶつかっているというところがあります。1つには、少し20...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明

人気の講義ランキングTOP10
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(2)仏典漢訳から日本仏教へ
「ブッダに帰れ」――禅とは己事究明の道
藤田一照
大人の学び~発展しつづける人生のために(2)熟達と遊び~好奇心から始まる学び
好奇心はコントロールが効かない…遊びの重要な条件とは
為末大
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
金融政策正常化の難しさ(2)今後の可能性と日本への影響
欧米で高まる金融政策正常化の背景と今後の可能性
植田和男
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将