民主主義の本質
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
宗教と民主主義…カトリック、正教会、イスラム教の違いは
民主主義の本質(3)宗教と教会と民主主義
橋爪大三郎(社会学者/東京工業大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
キリスト教圏において、神に与えられた権利を守るために必要とされた「法の支配」という原理。それは近代民主主義の礎となったが、同じキリスト教内でも、カトリックやプロテスタントといった宗派によって、その実践は異なっていた。つまり、そこで見えてくるのは異なる政教分離の実態である。さらに、イスラム教のような他の一神教とも比較することで、法の支配における教会の役割も明らかになる。(全5話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分33秒
収録日:2024年2月5日
追加日:2024年4月9日
≪全文≫

●宗派によって異なる政教分離の実態


―― もう1つ、著書『権力』の中で印象深いのが、やはり今の議論ですね。というのが、基本的にはアメリカ、あるいはイギリスなどでの主流の話であって、同じ一神教の世界では、例えばプロテスタントとカトリックでは違うし、いわゆる正教会とも違いがあるというようなご指摘なのですけれど、やはり、今ずっとお聞きしてきたのは、基本的にはアメリカ合衆国での論理ということになるのでしょうか。

橋爪 イングランドもだいたい同じです。カルヴァン派の影響力がイングランド、スコットランドではとても強いですから。フランスは少し別なのですけれど、哲学の影響が強いから、だいたい同じです。ドイツはルター派なので、少しカルヴァン派ではないけれど、似たようなものです。つまり西ヨーロッパという地域は、おおむねこの論理で納得しているわけです。

 さて、カトリックのほうはどうなっているかというと、教会が国をまたがって世界に1つしかないという原則でできているのです。こういうものを「普遍主義」「普遍(的)教会」といいますけれど、そういう教会があって、しかも個別の政治権力があります。個別の政治権力は、教会が認めるというスタイルでしたから、近代になってもカトリック系の国ではそういう考え方が抜けていないのです。ですから、契約によってこの国を守り、人権を守るのだという意識が希薄です。教会がそれに代わって、イエスの代理人として人々を守っているという意識がどこかにあるからです。そうすると、政教分離がうまくいきません。

 東のビザンチン教会、ギリシャ正教会のほうは、カトリックよりももっとカルヴァン派のやり方から遠いのです。どうしてかというと、東ローマ帝国がずっと最後まで残っていて、15世紀にやっと壊れてしまいました。それまで教会と政治権力は二人三脚で、ほぼベッタリでやってきたので、教会と政治が“なあなあ”の関係にあるのです。これが東の伝統です。

 ですから、ロシア正教会があるとすると、ロシア皇帝と“なあなあ”の関係になっていて、それからソビエト連邦があると、共産党とソ連の政府が、“なあなあ”の関係になっている。“なあなあ”の関係になっていると、誰かが良心に基づいて、「これはおかしい。この教会の考え方はおかしい」と言うと、政治犯になって、捕まって、処分されてしまうから、宗教改革も起こらない。良...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(34)『オデュッセイア』の秘密と愉しみ
【10min解説】大ヒット映画『オデュッセイア』がもっと楽しくなる神話講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(2)高齢者総合機能評価とフレイル
“マッチョな老衰”はいない!?若い頃からいかに骨格筋肉量を蓄えるかが健康長寿の鍵
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(5)「原則なし」の日本
世界は「原則」でできているが、日本は「原則はなし」にする
橋爪大三郎
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗