政党をどう見るか:日米の違い
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「米国型選挙+英国型国会」が日本の政治の難しさの一つ
政党をどう見るか:日米の違い
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
アメリカ型の個人選挙とイギリス型の政党・国会運営の合体型である日本の政治システムの難しさや、米英における選挙や政党の特色等を明らかにしながら、日本の政治制度改革のためには如何なるレビューが必要となるかを解説する。
時間:9分58秒
収録日:2012年11月10日
追加日:2014年2月24日
カテゴリー:

●個人選挙の国アメリカ


 アメリカの政治の仕組みというのは、教科書にも載っているし、多くの解説があるので、みんな知っているつもりなのですが、基本的にアメリカの政党というのは、日常的にはほとんど機能しておらず、全国的な規模の政党というのは、実は大統領選挙で初めて形になり、日常的には州単位の民主党なり共和党なりが機能しているという姿であるということは、意外と知られていないと思うのです。ですから、大統領選挙をすることによって、民主党というのが一つに固まるわけです。

 ただし、アメリカの場合の政党を見ていれば分かると思いますが、かつては候補者の指名を各選挙区で政党ができたのですが、それはもうできないわけです。ですから、プライマリー、予備選挙で民主党の中、共和党の中でもう勝手に競争させる。

 ある意味で、日本以上に個人選挙の国なのです。

 また、その個人選挙というのは、大統領選挙にも通じていまして、大統領が個人で戦うわけです。共和党の中の候補者、民主党の中の候補者がそれぞれ競争をすることによって、プライマリー、予備選挙で生き残って、それで初めて党の公認候補、党の指名を受けて正式な大統領選挙に出るという姿ですから、とても個人的な色彩が強いわけです。

 そういう意味で、党組織ということをそれほど考えなくても済むということで、イギリスやヨーロッパの政治から比べれば、はるかに個人選挙に近いのです。


●日本の政治システムの難しさ-1.米英合体型の構造 


 実はこの個人選挙というのは、日本の政治自体が個人選挙で、特に個人後援会を中心とした中選挙区時代の名残りがそのまま残っていまして、選挙は個人でやって、国会は政党で動かすイギリス型です。つまり、アメリカ型の選挙とイギリス型の国会が組み合わさっているという、非常に乱暴な分け方をすると、それが日本の国なのです。

 アメリカの場合は個人選挙であり、政党は個人政党なのです。つまり、政党規律、党議拘束がないわけですから、国会での投票は、個人が自分で決めて投票しているというように、アメリカはある種一貫しているわけです。

 イギリスのように、政党が選挙をやり、それから党議拘束があって、党議に従って議員が投票する国というのは、これまた政党で一貫しているわけです。

 日本の場合には、中選挙区時代は個人選挙でやらざるを得なかったのです。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
国家の中で個人が楽しく生きるために、なぜ「中間団体」が重要か
片山杜秀
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
小原雅博
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(2)開国の是非と将軍継嗣問題
「尊王攘夷か佐幕か」…天皇絶対主義に結びつく厄介な問題
山内昌之
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
資本主義の再定義…哲学で考える(6)「学ぶ」ことの本質と道徳の問題
「一人で悟るのは危険だ」…学ぶことの本質と日本の役割とは?
中島隆博
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
組織心理学~「妬み」との上手な付き合い方(1)いい妬み・悪い妬み
いい妬みと悪い妬みの2種類がある…「嫉妬」の本質に迫る
山浦一保
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(4)5人の皇帝と現代中国
特筆すべき5人の皇帝…中国史を知らなければ現代中国もわからない
宮脇淳子
「ホメロス叙事詩」を読むために(5)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留