●自民党の議席最大化戦略が見事に当たった選挙
それでは、選挙についてお話しします。今回は、選挙結果をどう読むかという話です。
今回の選挙は、総じて関心が薄く、投票率も前回ほどではなさそうです。これをどのような選挙だと読んだらよいのか。一つは、以前のお話で示したように、選挙戦術上、野党の準備不足を見越して解散時期を決めたという意味で、自公、特に自民党の議席の最大化という戦略が見事に当たった選挙だと言えるでしょう。
その選挙戦術が成功した後ろ側に何があるのでしょうか。野党は準備不足で、いつでも政権を取れる準備ができていませんでした。候補者調整ができておらず、野党乱立状態で、前々回、政権交代があった際に共産党は候補者を出さなかったところがありましたが、今回は小選挙区にもほとんど全員候補者を立てています。それから、第三極を狙って存在感を示そうとする政党には離合集散がありました。結果として、今回、民主党の増加はそれほどでもないだろうと思います。現状維持か少し多い程度でしょう。維新の党と次世代の党、生活の党は極めて厳しい状態で、生き残りが難しくなってきました。
候補者調整ができたところを見ても、候補者を比較すると、総じて自民党の現職が強いようです。以前から、小選挙区は風が吹くと揺れ幅が大きいと主張する方がいますが、もちろんその側面があると同時に、小選挙区は現職が強いとも言えます。今回は、小選挙区の特徴のうち、再選確率が高い面が現れそうだと見たらよいのではないかと思います。
●3分の2を確保したら、突き崩しは難しくなる
では、選挙の結果をどのように読んだらよいでしょうか。まず前提として、衆議院の過半数を取った党は首相を指名することができ、その首相が内閣をつくり、政権を握ることができます。これが日本の衆議院選挙の目標、目的で、アメリカの下院も同様です。しかし実は、これは政権運営の必要条件であって、十分条件ではありません。政権を握ることができても、政権運営に支障を起こさないようにするためには、参議院の過半数も握る必要があります。
私もかつて、日本の政治は、衆議院で単独もしくは連立で過半数を握ることが条件だと教科書に書いてきました。しかし、それができても、参議院で多数を握らないと、法案は通りません。野党に特例公債などを人質に取られて、“解散をしろ”“首...