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二大政党化のはずだが…選挙区制の目的が達成できない理由

「議会と民主主義」課題と処方箋(2)小選挙区比例代表並立制の大問題

概要・テキスト
政策本位の政治や、政権交代の可能性を目指して導入された小選挙区制であるが、多様な意見の反映には課題が多い。また、二大政党や政権交代の実現にはまだまだ距離があるが、比例代表や並立制の機能も十分に活用されているとはいいがたい。現在の選挙制度では公認の獲得が難しく、政党の影響力が強いために新人の参入を阻んでいる。そこで今回は、優秀な政治家を育成しつつ、新しい視点を取り入れていくためにはどうすればよいかについて議論する。(全8話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:09:57
収録日:2024/06/07
追加日:2024/10/27
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≪全文≫

●政治に参入するための新たな制度設計


―― まさに今の議題である、どうしたら優秀な人材が政治に入ってくるかというところなのですけれど、ひと言でいってどうすればよろしいのでしょうか。そのあたり、日野先生、いかがですか。

日野 2つあると思います。1つは優秀な政治家を育て続けるということ。もう1つが、新しい視点を常に入れていくということだと思います。選挙制度としては、やはり優秀な政治家というのは選挙に勝っていきます。

 そして、継続して政治家として、議員として経験を積んでいく。場合によっては政務官、副大臣、大臣と、そういう経験をさらに積んでいく。経験を積んでいくということは必要ですから、選挙にしっかりと勝っていくことで、有権者にその声を届けることができる政治家を育てていくということが、一方では必要であり、もう一方で、やはり多様な意見を常に入れ続けることです。

 優秀な政治家を育てていくということは大事なのですけれど、しかしそうすると、やはり永田町であったり、その世界で経験を積んでいくので、それ以外の社会のことはどうしても分からなくなっていく部分もあると思います。その場合に新しい声が入ってくるような、新しい政治家を入れていくような仕組みというものを考えるという、その2つを、両面をしっかりと満たす制度設計が必要なのではないかと思います。

―― アメリカなどですと、よく回転ドアというような言い方もされて、政治家をやって、またシンクタンクに戻ったり、あるいは役人をやっていた方が政治家になって、またシンクタンクに行くということがあります。

 いろいろ経験を、キャリアを、その前の経験を生かしながらうまくキャリアを積んでいって、政策通になっていくというような方法もあると思うのですけれど、日本でそれがやりづらいのはどうしてなのでしょうか。

日野 やはり、選挙に出るというときに、まずは公認を得なければいけないということが大きいと思います。それは、政党の個々のガバナンスによりますけれど、今の政党の状況で、そういった人材を登用していくということは、少なくとも小選挙区制において、なかなかその小選挙区の公認を得るというのは難しいのです。

 おそらくそういう方が入ってきやすいのは比例代表で、政党がこの人というように決める場合です。その個々の選挙区事情はあまり考えずに、(つまり)そ...
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