政治改革を実現するためには政治理念を継続して共有していくことが重要である。そのためにも優秀な政治家を育てていくという有権者の意識改革が必要となる。そこで課題となるのは、多様な考え方を政治の場に入れていくために兼業の問題をどうするか、また候補者の質を担保するのに、「供託金の没収」だけで良いのだろうか。他に打つべき手は? 今回はそれらについて議論を進める。(全8話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
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●政治改革を実現するためには理念の共有が重要
―― 例えば、もしそういう(シンクタンクのような)仕組みができたとすると、官僚の方でも上の言うことを聞いているだけではなく、「じゃあ、俺はもう飛び出て、そのシンクタンクで今までの経験を生かして、自分の政策を追求するんだ」という人も出てくるかもしれないですし、大学の研究者の方も特に政治学をやっている方は、実地にどう絡むかというところで、そういうところでキャリアを1回やってみようという方もいるかもしれません。たぶん、いろいろなキャリアがそこで形成される(のではないでしょうか)。
島田 そうですね。うまく官僚の方とアカデミアの方の真ん中に立つような組織というものがあると、それこそリボルビングドアが進むことにもなりますし、やはり転職していかないと給料が上がらないということも実はあると思うのです。今、公務員の方の給料とか待遇というのはいろいろあると思いますけれど、そういう意味ではおっしゃった通り、そこの間の立場として、その政策をつくるシンクタンクのようなものがあるというのは、結構大きく変わるのではないかと思います。
―― いろいろな流れの中でどうやっていくのかというのは大事だと思いますが、そういうものがなかなか実現できない、あるいはどうやったら実現できるかというところについて、日野先生はどのように思われますか。
日野 実現を阻んでいる要因の1つとしては、先ほどもおっしゃられた野党の分裂状況であったり、党がコロコロ変わるというような状況があるので、組織的な継続性が失われているという面はあると思います。
あとは、やはりその理念を持った人ということは非常に重要であると思います。その政党がどうあるべきなのか、そして政治改革の議論のときもそうですけれど、その理念というものが、当時は政治家にも一定程度共有されていたと思いますし、今でもそれはあると思うのですが、あまり理念が語りにくいといいますか、いったんその旗を下ろしてしまったようなところがあるので、今さらというような感覚もあると思います。
そして、この議論自体が「前も相当した(行った)議論だよね」というような感じにどうしてもなってしまうのです。それは、やはりその理念の弱さといいますか、本当の意味でその理念を共有できていないからで、そのときに飛びついて「マニフェスト選挙だ」...