●消費増税先延ばしは、選挙時期の選択肢を増やすという意味で捉えれば理解できる
解散についてお話いたします。この解散は、いくつかの要素から成り立っています。その一つは、消費税が非常に大きな決断のきっかけになっています。それを先に延ばすのか、あるいは、先に延ばさずに選挙をやるのかということです。
この消費税と選挙時期というのは、内閣、あるいは、自民党から見ると非常に重要な要素で、タイミングとして、統一地方選までにはなかなか選挙はできません。その後、集団的自衛権問題の後に選挙できるのかというと、これも支持率は下がっているでしょう。それから、もし仮に来年の10月から消費税が上がることになれば、その前後での選挙も難しいのです。ですから、消費税を先に延ばすということは、実は選挙時期の判断の選択肢を増やすという意味であれば、よく分かります。
●「消費税を上げない」という選択と選挙を絡ませるロジックは分かりにくい
しかし今、消費税を仮に1年半先延ばしをして、そして、そのことを国民に選挙で問うというのは、実に奇妙な問題設定です。
その奇妙である理由の一つは、確かに安倍さんは、消費税を8パーセントに上げる時もそうでしたし、10パーセントに上げるのもそうですが、例えは悪いですが、「これは私の子ではない。谷垣と野田の子で、連れ子だ」と、連れ子をいじめたいわけで、今もいじめているのです。そして、最後は突き放すということでしょうか。
それはそれでいいのですが、しかし、そのロジックが問題です。現在、アベノミクスは成功しているといっています。他の税金でもそうですが、消費税の増税は、経済が成功している時にしかできません。片方ではアベノミクスが成功し、金融緩和もできており、株も上がっている。しかし、「消費税を上げない」という選択と選挙を絡ませるというのは、非常に分かりにくいのです。
そういう意味で言うと、自民党の自社都合で、解散するには今が一番いい時期だということです。支持率もそこそこあり、野党は分裂状態で、選挙やれば壊滅でしょう。そして、消費税は、国民から見れば評判が悪いので、消費税を先延ばしにすると言えば、おそらく支持は上がるのではないか。そして、同時に景気の方も、7―9月期のGDP(国内総生産)の速報値の数字は悪くなりそうで、消費が思ったほどではなかった。それ...