アメリカの理念と本質
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ウォルター・ラッセル・ミード提唱「四つのアメリカ」とは
アメリカの理念と本質(7)四つのアメリカ
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
日本人のアメリカ理解を促すのに役に立つのが「四つのアメリカ」である。これはアメリカ外交史の泰斗といえるウォルター・ラッセル・ミード氏が提唱するもので、第一は「ピューリタンのアメリカ」、第二に「バージニアのアメリカ」、第三に「ミッド・アトランティックのアメリカ」、第四に「ジャクソンのアメリカ」で、これが今日の大問題といえる「トランプ的アメリカ」である。移民事情などからそれぞれ社会も文化も全く異なるのだが、どのようなアメリカのことをいっているのか。その特性について解説する。(全10話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:15分53秒
収録日:2024年6月14日
追加日:2024年10月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●人工国家アメリカの複雑性


―― アメリカの場合、先ほど先生から、現代でいうとイスラム教原理主義の考え方で国をつくったようなものに似ているというお話もありました。また、当時において、古代の理想を現代に持ってきて、アメリカという共和国を建国しようと取り組んだということもそうなのでしょう。いずれにしても「理念的」というか、「人工的」なつくられ方をしている部分が非常に多い国なのだろうということが、非常に如実に感じられます。

 この辺り、ある意味で自然な姿でずっと発展してきた日本のような国からは少し理解が難しいところがあるのかと思いながらうかがっていたのですが、このギャップについて、どのようにお考えですか。

中西 やはりアメリカは、その意味では「人工(人造)国家」です。個人的なことで恐縮ですが、初めて私がアメリカの土を踏んだときに思ったことがあります。私のアメリカ経験は非常に特異で、アメリカ建国200年という年に、たまたまイギリスの大学に留学していたものですから、イギリスの学生団体が募集した「アメリカ独立200年記念旅行」の企画に応募して、大西洋を渡ってアメリカに行ったのです。

 それが最初でしたが、ニューヨークの港に上がると、何か国連に来たような感じを受けました。つまり、いろいろな要素が混じり合って出来上がった国、非常に人工的な国で、国際社会そのものがアメリカなのだというような意識です。何か土に根差した土着的な文化や社会の匂いのようなもの、あるいは文明の持つ独特なもの、普遍性を超えた個別性みたいなものを感じないのです。

 そういうアメリカ理解では、とても今いわれたようなことを考えるいとまはなかったのですが、その後、長い間アメリカをいろいろ見つめ、アメリカに住んでみた。いろいろな経験をして、さまざまな歴史を学んだ中から考えてみると、冒頭ではアメリカという国のピューリタニズム問題を強調しましたが、実は非常に複合的な要素から成っていると思いました。


●ウォルター・ラッセル・ミードが提唱した「四つのアメリカ」


中西 これはアメリカの歴史家で有名な方、現代のアメリカを代表するアメリカ外交史の泰斗といってもいいウォルター・ラッセル・ミードという人の言っていることですが、「アメリカの外交を考えるとき、あるいはアメリカの社会や文化を考えるときには、四つぐらいのアメリカを...

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