アメリカの理念と本質
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
起源は南北戦争…アメリカ再建への道とリンカーンの演説
アメリカの理念と本質(9)南北戦争の意義とリンカーンの理念
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
アメリカには共和主義と自由主義が並立している。共和党と民主党の二大政党は、それを象徴する存在である。しかし南北戦争の前は、国家主義がフロンティア精神を誘発し、権力者が弱者をないがしろにしていた。南北戦争はアメリカ史上もっとも多くの犠牲を出した戦争だが、「人民の、人民による、人民のための政治」という演説を行ったリンカーンの理念のもと、アメリカは草の根の民主主義を取り戻す。その後、アメリカが未曾有の経済発展をとげ、世界一の経済大国となっていく、その起源である南北戦争について解説する。(全10話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分43秒
収録日:2024年6月14日
追加日:2024年10月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●国家主義の共和党、自由と民主の民主党


──(前回、州と連邦の)話の中でも出てまいりましたが、アメリカにとって一つの大きな契機になるのは南北戦争であるということを、先生は『アメリカ外交の魂』(集英社)にもお書きになっています。そこでは、理念によってつくられたアメリカが、いろいろ変わっていく現実の中でもう一度その理念を再構築する意味として、南北戦争が貴重な意味を持ったのではないかというお話もありました。

 このあたり、アメリカ人の気質やアメリカというものを理解する上で南北戦争は非常に重要な部分かと思います。これについて改めて中西先生、どのようにお考えでしょうか。

中西 アメリカという国は、共和主義(共和政)と自由主義といいますか、自由で民主的な(部分を持ちます)。共和政のほうは、アメリカでいえば「リパブリック(Republic)」ですが、ラテン語の「レス・プブリカ(res publica)」は、民主や自由などのイデオロギーとは関係なく、ただ「国家」という意味です。ですから、原義からいくと、共和政というのは国家を重んじるという意味になります。

 共和党(Republican Party)というアメリカの政党がありますが、共和党は国家の主人公ということを体現した名前の付け方です。また、共和党のことを別名“GOP”といいます。アメリカの政治用語ですが、“GOP(Grand Old Party)”は、「偉大なる伝統の国家を守る」主人公の政党だということです。

 それに対して「あいつらは民草、つまり虫の目だから、国のことにあまり責任を持たないで、ただ『自由だ。民主だ』と言って国をバラバラにしていくような(言動を取る)」。これはあくまでも共和党員からのネガティブな見方であり、それが「民主党(Democrats)」という呼び名になります。イギリスの「トーリーとホイッグ」という言い方に一脈通じるものがあります。リパブリカンは(あくまで)自分で言っているわけです。


●連邦成立のジレンマを吹き飛ばした「奴隷問題」


中西 南北戦争は、リパブリカン(共和党)のリンカーンが行った戦争です。そのリンカーンは、国家の理念というものを非常に強く打ち出した。先ほども言ったように、「各州がバラバラになって連邦を離脱し、ワシントンの政府に従わないようなことになるのは許せない」ということで戦争をするわけですから、実をいえば南北戦争は、国家主義による戦争...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(2)「出挙」と国司の仕事
地元の有力者の力を借りるために大伴家持が詠んだ歌とは?…今も奈良時代も変わらない中央官僚と地元有力者の関係
上野誠
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(5)サルコペニア・フレイル対策
認知症予防にはどんな食事がいいのか?鍵はビタミンDの充足
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
編集部ラジオ2026(36)宮脇淳子先生「満洲史」講義の要点
【10min解説】「満洲史」はタブー?…そこから見えてくる教訓とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
進化的人間考~ヒトの性質と異様な現代社会(1)進化のスパンと現在の人間生活
ヒトの進化史を文明の発展の時間軸から考える
長谷川眞理子