アメリカの理念と本質
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カトリックでも例外!? アイルランドに対する偏見とその背景
アメリカの理念と本質(4)アングロ・サクソンの社会
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
ヨーロッパのカトリック社会では人と人のつながりを大切にするが、プロテスタントの国々では個人主義がより先鋭に主張される。中でもアングロ・サクソンの社会に冷たさを感じた日本人留学生はイギリスに留学した夏目漱石をはじめ明治以来多かっただろうし、森鴎外をはじめ当時の日本のエリートは比較的情緒的なドイツで学んだ者が多かったようだ。そうした中、カトリックでも例外なのがアイルランドだと中西氏は言う。アングロ・サクソンにとってアイルランドはどのような存在なのか。(全10話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分15秒
収録日:2024年6月14日
追加日:2024年9月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●濃厚に人とつながるカトリック、個人主義のプロテスタント


―― 中西先生のお話の中では、現代にたとえるとすると、イスラム教原理主義の勢力が国家をつくるようなところとどこか軌を一にするところがあるというお話が、とても印象深かったです。日本人が西洋の国々を見る場合、ピューリタニズムであるアメリカと、カトリックがベースになっている国々を比べた場合、先生はどのような違いがあると思われますか。

中西 そうですね。現代人の目から見て、私のヨーロッパ理解では、やはりカトリックの国ではどちらかといえば個人主義が弱いといいますか、逆にいうと人と人のつながり、とりわけ家族とか、地域社会とか、一つの団体とか、企業とか、組織などの人間同士のつながりの中に救いを見いだそうというところが濃厚に感じられるのが、カトリックの社会だと思います。

 プロテスタントの国はやはりどこもカトリックに比べれば、個人主義がより先鋭に主張されることが多いのです。その中でもピューリタニズムは、いわゆるプロテスタンティズムとは(一線を画しています)。

 普通のプロテスタントというと、ドイツ発祥のルター派教会ですが、今では北欧にもオランダにも、またオーストリアや日本にもたくさんあります。また、社会的にいうと、ルター派のプロテスタント国家は、国家主義というか、国家あっての宗教であるというところが強いと思います。

 それは、イギリスの国教会も少しそういうところがあります。「一国教会主義」というのでしょうか。


●アングロ・サクソンの個人社会とカトリック


中西 それから、ドイツという国の歴史は、戦争のときや三国同盟など、日本の歴史と時々パラレルになることがあります。

 それ以外にも明治の森鴎外以来、ドイツに留学した日本人は非常にドイツ社会になじみやすかった。イギリスに留学した夏目漱石とはそこが違う。個人差もありますが、漱石の場合、イギリスの個人主義に対して非常に冷たさを感じ、一人寂しく寄る辺なく、ロンドンの下宿で悶々としていたイメージがあります。それに対して鴎外は、ドイツの社会で生き生きとした留学生活を送っていたように思います。

 明治以来、戦前の日本のエリートは主にドイツへ留学し、医学や経済学、憲法学や法律などの学問もやはりみなドイツから学んでいます。どこか相性がいいのでしょう。それはやはり、どこ...

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