地政学入門 ヨーロッパ編
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ロシア暴挙の要因!? ソ連崩壊後のNATO拡大と「口約束」問題
地政学入門 ヨーロッパ編(4)ドイツ再統一とNATOの東方拡大
政治と経済
小原雅博(東京大学名誉教授)
極右政党が台頭するドイツの背景には、「再統一」後の経済格差が残響している。また、ソ連崩壊後のNATO拡大の背景にあった政治的「約束」の問題は、現在のロシアとウクライナの関係にも尾を引いている。それぞれについて、経済的、歴史的観点からヨーロッパの力関係をひもとく。(全10話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分46秒
収録日:2025年2月28日
追加日:2025年5月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●ドイツ再統一と旧東ドイツとの経済格差


―― 続きまして、今お話に上ったドイツ統一というところです。

小原 ドイツ統一というと、歴史的に1871年ビスマルクが宰相、つまり首相で政治を牛耳っていました。これはプロシアという強い国があったわけですけれど、ドイツは先ほど言ったように、30年戦争もあってバラバラだったわけです。フランスからすれば、ドイツが統一されないのがフランスにとってはいちばんいいわけです。ところが、プロシア(プロイセン)は非常に陸軍が強いのです。かつビスマルクのような非常に能力のある政治家が指導するようになって、どんどん力をつけていくわけです。

 結果的にオーストリア・ハンガリー帝国と戦争をして勝ち、その後、フランスとも戦争をして勝つ。この2つの戦争によってドイツを統一するということができた。宰相であるビスマルクが実際にはこの戦争2つを勝ち取って、パリにおいてドイツの統一をヴィルヘルム1世の下で宣言するわけです。これが、歴史の悲願であったドイツの統一がなされたということなのです。

 最近では、1990年ドイツの再統一と資料に書いてありますが、この間に何があったのかというと、皆さんもこれまで見てきたように、第一次世界大戦、第二次世界大戦がありました。特に第二次世界大戦の後で、結局、東側からソ連が入ってきます。西側からは連合軍、アメリカとかイギリスとかが入ってきて、結果的に先ほどの鉄のカーテンみたいなものができるわけで、ベルリンの壁が崩れたということを言いましたけれど、ベルリン自身も東ベルリンと西ベルリンに分かれ、国家も2つに、東ドイツと西ドイツに分かれてしまうわけです。それがいわゆる冷戦の1つの現場なのです。

 これが長い冷戦が終わった後に統一ということになるので、最初の統一は1871年なわけですが、もう一度ドイツは統一をするということで再統一と書いてありますが、それが1990年です。1989年に冷戦が終わって、1990年に統一がまたなされるということです。

 それはこの資料の右と左に、最近のデータを書いています。ドイツのGDP総額に占める州別のシェアというのが左です。これを見たら分かるように、旧東ドイツの地域というのはGDPが低いのです。

 それから、右側にはドイツに本社がある企業の総数に占める州別のシェアです。これを見ても...

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