地政学入門 ヨーロッパ編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
グリーンランドに米国の軍事拠点…北極圏の地政学的意味
地政学入門 ヨーロッパ編(10)グリーンランドと北極海
政治と経済
小原雅博(東京大学名誉教授)
北極圏に位置する世界最大の島グリーンランド。ここはデンマークの領土なのだが、アメリカの軍事拠点でもあり、アメリカ、カナダとヨーロッパ、ロシアの間という地政学的にも重要な位置にある。また、気候変動によってその軍事的意味合いが増すエリアが北極海だ。最終話では、グリーンランドを中心にアメリカを取り巻く地政学の最前線について解説する。(全10話中第10話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:7分37秒
収録日:2025年2月28日
追加日:2025年7月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●グリーンランドの地政学的重要性


―― 続きまして、グリーンランドと米軍です。

小原 これはもう最後のところです。グリーンランドというのは左の丸い地図を見ていただいたら分かるように、カナダにすごく近いわけです。地理的にはヨーロッパではないのです。どちらかというと北米に入ります。これは日本人からすると意外なのですが、地理的にはこういうことです。

 ではグリーンランドというのは国かというと、独立国家ではないのです。ただ、独立をしたいと。5万6000人ぐらいしか住んでいなくて、ほとんどがイヌイットですが、こうした人たちがこれまで独立をしたいということで、そうした声が高まっているわけですから、将来どうなるか分かりません。現時点で、デンマークの1つの領土になっているわけです。もちろん自治権は与えられています。けれど、外交とか安全保障の大部分はデンマークが担っているわけです。

 そういうわけで、今回ヨーロッパに入れたわけです。ヨーロッパに入れたのですが、非常に選択的に重要な地政学的な位置にあるのです。ご覧になったら分かるように、アメリカ、アラスカのあたりからすごく近いのです。それからアメリカ、カナダという西側の重要な国の向こう側にロシアがあります。その間にグリーンランドがあるわけです。

 したがって冷戦のとき、グリーンランドは非常に重要な軍事拠点になったのですが、これはデンマークと話をして(のことです)。

 デンマークはナチスに占領されますが、これは面白いのですけれど、当時、占領された後も、駐米デンマーク大使が活躍して、アメリカとの間で合意を結ぶのです。その合意は、この軍事的な拠点をアメリカに貸すという形になって、アメリカはここに軍事的な拠点を置くわけです。

 それでもって例えば冷戦中も、ソ連からのICBM、大陸間弾道弾のアーリー・ウォーニング・システム、(つまり)早期警戒の情報をキャッチします。あるいは今では宇宙です。宇宙軍がここに来ていますが、宇宙のいろいろな監視をやっているわけです。そういう意味で非常に大事なので、トランプ大統領が「グリーンランドをアメリカに」という話もしていますけれど、実はもうすでに、資料の下に見られるようにアメリカの空軍で最も北にある軍事基地があるわけです。ここは24時間稼働で、この滑走路は凍らな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫

人気の講義ランキングTOP10
クーデターの条件~台湾を事例に考える(4)クーデター後の民政移管とその方策
軍政から民政へ、なぜ李登輝はこの難業に成功したのか
上杉勇司
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
世界のジョーク集で考える笑いの手法と精神(1)体制を笑うジョークと諷刺の精神
ジョークの精神…なぜ人は厳しいときほど笑いを磨くのか
早坂隆
編集部ラジオ2025(23)垂秀夫元中国大使が語る習近平中国
垂秀夫元中国大使に習近平中国と米中関係の実態を聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
人間はどうやって「理解する」のか?『学力喪失』から考える
今井むつみ
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
松下幸之助の人づくり≪3≫理想の政治(2)日本を根本から検討し直す
常識を覆せ…「無税国家」「剰余金分配国家」は実行可能だ
松下幸之助
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(5)現代社会の問題点と親性脳のスイッチ
親も子もみんな幸せになる方法…鍵は親性脳のスイッチ
長谷川眞理子