●バルト3国に学ぶ小国のありかた
―― 続きまして、東ヨーロッパですね。
小原 はい。これまでもずいぶん議論してきたのですが、バルト3国です。これが旧ソ連を構成する共和国だったわけですけれど、これが、ソ連が崩壊のときに独立をしていくわけです。
資料に書いたように、この3つの国です。リトアニア、ラトビア、エストニアです。小さい国ですけれど、それぞれに特徴があります。例えば、皆さんご承知のように、リトアニアで「命のビザ」という、当時総領事館で、ビザを発給していた杉原(千畝)副領事が、ポーランドのほうから逃げてきたユダヤ人たちに日本通過のビザをどんどん出したわけです。その結果、救われたユダヤ人がたくさんいて、ユダヤ人、イスラエルは彼に大変感謝をしたという物語もあって、リトアニアと日本の関係というのはそうしたつながりもあるわけです。
例えばこの国は、台湾との関係を非常に大事にしていて、この3国みんなそうなのですけれど、ソ連、大国の圧力、あるいは弾圧、そうしたものを受けてきたということがあって、同じような境遇の台湾に対して同情というか、共感というのはすごくあるわけです。台湾代表処を開いたりしているわけです。これに対して、中国は猛烈に抗議をするというようなこともあったわけですけれど。
こうしたバルト3国の置かれた立場は1つ、このヨーロッパを見る上で大事なポイントかなと思います。例えば、資料に書いてある海上LNGターミナルは何を意味しているかというと、LNGというのは液化天然ガスです。この後に出てきますけれど、ロシアというのは大変な資源大国で、天然ガスをパイプラインでヨーロッパにずっと送ってきたわけです。対ロシア依存というものが制裁をロシアにかけるときに非常に難しい問題になったわけです。
ところが、リトアニアは以前からロシアに依存しない体制をつくるために、天然ガスをロシアから買うのではなくて、自分たちでLNGターミナルを造って船で他のところから、例えばノルウェーがすぐそばにありますけれど、こういうところから液化天然ガスを確保するということをやってきた国なのです。
だから、小さい国だけにロシアとの関係で、そうした歴史的な教訓を踏まえて対応しているということで、非常に興味深いと思います。
エストニアと(資料の)下のほ...