●アルプス山脈と平野があるヨーロッパ
―― 続きましての地図ですけれど、ヨーロッパの地形ということですね。
小原 はい。
―― ヨーロッパの特徴というのはどういうことになりますか。
小原 ヨーロッパは、見ていただいたら分かるように、南のほうにフランスの東部からスイス、オーストリアにかけてアルプスがありますね。
―― 非常に高い山ですね。
小原 はい、高い山があります。1つの特徴は、フランスの東部からスイス、オーストリアにかけてアルプス山脈があります。このアルプス山脈がヨーロッパを分断させたのではないかというような疑問がありますけれど、実はこの山脈にも昔から人々は生活をしていて、この南と北で交流もあったわけです。そういう意味では先ほどローマ帝国の話をしましたが、ローマ帝国の広がりも、こうした山を越えて北部に行っているわけです。
そういう意味で、例えばアジアのほうではエベレストはありますけれど、これはもう完全に南北を隔てた非常に大きな障害だったわけです。それと違ってヨーロッパは、これだけ高い山があっても、それが障害になることはなかったというのが1つの特徴です。
同時に、北と南で違うのは、北のほうはかなり平坦な原野が広がっているのです。そこを流れる川はゆったりと流れているわけです。ライン川もそうですが、こうした川を交通の要衝としての都市を生んできたわけです。したがって、中世の都市というのは河口から少し入ったところにできたのです。
ところが、南のほうを見てみますと、山から川が短いのです。急激に海にたどり着きますから、そういう意味でいうと、要するに南のほうではギリシアもそうですし、ローマ、あるいは地中海の沿岸です。カルタゴという国もありましたけれど、都市国家もありました。こういった都市国家は海に出ていったわけです。だから、地形がこの歴史に与えた影響というのはけっこう大きいのです。
ヨーロッパがどう発展してきたのかを見る意味で、地理を見るというのは非常に大事なのです。基本的に海に出ていくということでいえば、例えばアムステルダムは16世紀ぐらいになって出てきた、海に面した都市なのです。いわゆる大航海時代がありますけれど、そういった時代に入ってくると、海というものが非常に大事になってくるわけですが、それまでは...