地政学入門 ヨーロッパ編
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地図で読む「ヨーロッパにおけるパワーの東漸と西進」
地政学入門 ヨーロッパ編(2)地理的条件と東西の攻防
小原雅博(東京大学名誉教授)
第一次、第二次世界大戦におけるヨーロッパの攻防を地政学の観点から見ると、いったいどのような背景が読み取れるだろうか。アルプスと平野、海といった地理的条件から、ヨーロッパの「西と東」の攻防の歴史を読み解く。そうすると、そこにはポーランドの悲劇的な歴史もあったことが分かる。(全10話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分11秒
収録日:2025年2月28日
追加日:2025年5月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●アルプス山脈と平野があるヨーロッパ


―― 続きましての地図ですけれど、ヨーロッパの地形ということですね。

小原 はい。

―― ヨーロッパの特徴というのはどういうことになりますか。

小原 ヨーロッパは、見ていただいたら分かるように、南のほうにフランスの東部からスイス、オーストリアにかけてアルプスがありますね。

―― 非常に高い山ですね。

小原 はい、高い山があります。1つの特徴は、フランスの東部からスイス、オーストリアにかけてアルプス山脈があります。このアルプス山脈がヨーロッパを分断させたのではないかというような疑問がありますけれど、実はこの山脈にも昔から人々は生活をしていて、この南と北で交流もあったわけです。そういう意味では先ほどローマ帝国の話をしましたが、ローマ帝国の広がりも、こうした山を越えて北部に行っているわけです。

 そういう意味で、例えばアジアのほうではエベレストはありますけれど、これはもう完全に南北を隔てた非常に大きな障害だったわけです。それと違ってヨーロッパは、これだけ高い山があっても、それが障害になることはなかったというのが1つの特徴です。

 同時に、北と南で違うのは、北のほうはかなり平坦な原野が広がっているのです。そこを流れる川はゆったりと流れているわけです。ライン川もそうですが、こうした川を交通の要衝としての都市を生んできたわけです。したがって、中世の都市というのは河口から少し入ったところにできたのです。

 ところが、南のほうを見てみますと、山から川が短いのです。急激に海にたどり着きますから、そういう意味でいうと、要するに南のほうではギリシアもそうですし、ローマ、あるいは地中海の沿岸です。カルタゴという国もありましたけれど、都市国家もありました。こういった都市国家は海に出ていったわけです。だから、地形がこの歴史に与えた影響というのはけっこう大きいのです。

 ヨーロッパがどう発展してきたのかを見る意味で、地理を見るというのは非常に大事なのです。基本的に海に出ていくということでいえば、例えばアムステルダムは16世紀ぐらいになって出てきた、海に面した都市なのです。いわゆる大航海時代がありますけれど、そういった時代に入ってくると、海というものが非常に大事になってくるわけですが、それまでは...

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