●ソ連と西欧を隔てた「鉄のカーテン」
―― そこをどう現代政治の上で見ていくかというところになろうかと思いますが、次が冷戦と「鉄のカーテン」というところです。これが第二次世界大戦後ということになりますね。
小原 そうですね。この黒い線が皆さんご承知の、いわゆる「鉄のカーテン」というものです。少し色分けが違いますが、こちら(緑色の部分)はユーゴスラビアで、これはいわゆる非同盟で、どちら側にもつかないという国です。
それから、その下(南)にアルバニアというのが赤くなっていますけれど、これもその後ソ連側と手を切って、いわゆる孤立主義のような形で進んでいきますので、この黒い線はある意味で全て西側の同盟国ということではないのですが、ソ連側の一員でもメンバーでもないということで、こうした線になっています。
1つ、この中でその後の関係でいうと、例えばバルト3国がポーランドの北のほうにあるわけですけれど、注意しないといけないのは、バルト3国はソ連邦に属する共和国だったのです。したがって独立主権国家ではないわけです。だからバルト3国は、ポーランドなどとは違う国だったのです。ソ連の中の一共和国であったということが、ソ連が崩壊することによってこの後出てきますが、要するに独立をしたということです。
●ドイツの統一とソ連の崩壊という転換点
―― 続いて、その変動の部分です。
小原 大きな時代の変化というものが、この冷戦が終わった後に起きるわけです。ここに整理をしておきましたが、歴史と地理というものを考えていく上でいくつかの論点があると思うのですけれど、1つ、地政学ということを考えた場合に非常に大きかったのはドイツの統一です。後で出てきますけれど、これは非常に重要なポイントです。それから、ソ連が崩壊していくということです。
こうした過程でいくつかの非常に難しい問題が出てくるのです。これも後でお話をしますが、いろいろな紛争がソ連から独立するに際して、ソ連が崩壊し、そこでその継承国たるロシアが生まれてくる、そうしたプロセスの中でいろいろな民族紛争であり、領土をめぐる争いであり、そうしたものが出てきて、それが今も残っているというところがあります。