地政学入門 歴史と理論編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
シーパワー、生存権、ハートランド、リムランドとは?
地政学入門 歴史と理論編(5)地政学理論の先駆者たち
小原雅博(東京大学名誉教授)
地政学の理論は、歴史的な事象の読み解きを可能にするだけでなく、同時代的な軍事的動向にも影響を与えていた。今回はその先駆的な提唱者として、アルフレッド・マハン、フリードリッヒ・ラッツェル、ハルフォード・マッキンダー、ニコラス・スパイクマンの4人を取り上げ、軍事戦略と地政学的観点の絡み合いを読み解く解像度を高めていく。(全7話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分17秒
収録日:2024年3月27日
追加日:2024年5月28日
≪全文≫

●「海を制するものが世界を制する」というマハンの理論


―― つづいて見てまいりますのが、地政学の有名な論者の皆さんですね。

小原 はい。いよいよ理論に入るわけですけれど、私は4人を挙げてみました。

――はい。

小原 1人は先ほどからお話しをしているマハンです。アルフレッド・マハンといって、これはもう皆さんご承知のように、シーパワーということを提唱した人です。

 アメリカが西部開拓で統一をして、それでいよいよ、それまでは先ほど(第1話で)モンロー主義というような話もしましたけれど、19世紀の終わりになったら、マッキンレー大統領もそうですし、それからセオドア・ルーズベルトなどの大統領が外に出て行くのです。いわゆる「アメリカの帝国主義」といわれていますけれど、例えばハワイ、あるいは米西戦争でフィリピンをとります。こういったことで太平洋に出ていくというのが、典型的なこの時代の、外に向かっての戦力の放射なわけです。

 この時に、マハンが『海上権力史論』というものを1890年に書くわけです。この中で、彼は「シーパワーの構築が非常に大事なのだ」と。だから、シーパワーには、先ほど(第4話で)いったように、単に海軍力だけではなくて、それ以外のいろいろなもの、例えば交易もそうですし、貿易もそうですし、海運もそうですし、それから、先ほど少し海外領土という話もしましたけれど、当時はフィリピンもそうで、海外領土です。それから、そうしたものからくる市場です。

 海外に市場を確保することによって、自国の生産力を挙げることができます。つまり、そこに需要ができるわけですから、供給力を伸ばしていけば、それが経済的な富につながっていくという、海を通じた総合的な力というものを、彼は提唱したわけです。

 それに沿って、アメリカは海軍力を強めていくわけです。その意味でいうと、このマハンのそうした考え、つまり「海を制するものが世界を制するのだ」というのが彼の理論の最も大事なところだと思うのですけれど、それを受けて、その後の3人も、みんなその影響を受けているわけです。


●ラッツェルが提唱した「生存圏」:国家は生命体である


 例えば、フリードリッヒ・ラッツェルという人がここ(スライド)に書かれていますが、彼はよく「地政学の父」「政治地理学の祖」であるとい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
躍進するインドIT産業の可能性と課題(1)下請けから世界の中心へ
インドが世界有数のIT産業の拠点へと発展した理由
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(34)『オデュッセイア』の秘密と愉しみ
【10min解説】大ヒット映画『オデュッセイア』がもっと楽しくなる神話講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(2)高齢者総合機能評価とフレイル
“マッチョな老衰”はいない!?若い頃からいかに骨格筋肉量を蓄えるかが健康長寿の鍵
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(5)「原則なし」の日本
世界は「原則」でできているが、日本は「原則はなし」にする
橋爪大三郎
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗