米中関係の行方と日本の今後を読む
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ハートランドとリムランド…地政学で考える米中対立
米中関係の行方と日本の今後を読む(9)米中戦争の可能性はあるのか
政治と経済
小原雅博(東京大学名誉教授)
地政学の原点にさかのぼると、「ハートランド」と「リムランド」という概念が浮上する。超大国アメリカひいては中国にとって日本が地政学上大切なのは、日本がハートランドの周辺にあるリムランドであるからだ。では対立するアメリカと中国は、本当に戦う可能性はあるのだろうか。世界を揺るがす事態を検討する。(全12話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分28秒
収録日:2020年9月8日
追加日:2020年10月31日
カテゴリー:
≪全文≫

●地政学の原点、「ハートランド」と「リムランド」


小原 今回は、地政学の原点をご紹介します。地政学の発祥をどこに持っていくのかということですが、よくいわれるのがマッキンダーの「ハートランド」です。当初彼は、このハートランドのことを「ピボットエリア」とも呼んでいました。

―― これは、ロシアの近辺にあるということですね。

小原 そうですね。当時のソ連のあたりです。ここを押さえる者がまさにユーラシアを押さえ、さらにいうと世界を押さえて覇権国になるのだという議論です。それに対してスパイクマンが言ったのは、「いや、ハートランドではない。大事なのは、『リムランド』というハートランドの周辺にある部分である」ということで、これがアメリカなどのいろいろな戦略に結びついてきているのです。

 この地図を見られると、日本とイギリスで少し色が違うのがお分かりかと思います。

―― はい。

小原 日本ではかなり誤解されて紹介され、いろいろな本の中では日本とイギリスがリムランドに入っています。でもスパイクマンが言っていたのは、「日本はリムランドの沖にある島国だ」ということだったので、そこは注意しておく必要があります。

 いずれにせよ、日本の戦略的・地政学的な位置は非常に重要で、アメリカも非常に重視しています。中曽根政権の時には「不沈空母」という言い回しもありましたが、ここにいる日本の持っている戦略的・地政学的な意味合いが非常に大きいということだと思います。

―― はい。

小原 アメリカが前方展開を行っていくうえで、日本の意味は在日米軍も含めて非常に大きいのです。極端なことをいえば、ここから中東までアメリカ軍は出ていけるわけで、日米同盟というものは非対称です。

 ジョン・ボルトン元米大統領補佐官の回顧録などを読んでも、トランプ大統領が「もっと金を出せ。さもなくば引き上げるぞ」と言ったというような話があったそうです。ただ、アメリカの戦略家や国防総省からすると、日本を失うことは世界戦略の上で非常に大きいわけです。トランプ大統領が在韓米軍のことをあまり分かっていないことは指摘されていますが、地政学について説明すると、そういうことになります。


●米中戦争の可能性を探る「トゥキディデスの罠」



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