米中関係の行方と日本の今後を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ハートランドとリムランド…地政学で考える米中対立
米中関係の行方と日本の今後を読む(9)米中戦争の可能性はあるのか
小原雅博(東京大学名誉教授)
地政学の原点にさかのぼると、「ハートランド」と「リムランド」という概念が浮上する。超大国アメリカひいては中国にとって日本が地政学上大切なのは、日本がハートランドの周辺にあるリムランドであるからだ。では対立するアメリカと中国は、本当に戦う可能性はあるのだろうか。世界を揺るがす事態を検討する。(全12話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分28秒
収録日:2020年9月8日
追加日:2020年10月31日
カテゴリー:
≪全文≫

●地政学の原点、「ハートランド」と「リムランド」


小原 今回は、地政学の原点をご紹介します。地政学の発祥をどこに持っていくのかということですが、よくいわれるのがマッキンダーの「ハートランド」です。当初彼は、このハートランドのことを「ピボットエリア」とも呼んでいました。

―― これは、ロシアの近辺にあるということですね。

小原 そうですね。当時のソ連のあたりです。ここを押さえる者がまさにユーラシアを押さえ、さらにいうと世界を押さえて覇権国になるのだという議論です。それに対してスパイクマンが言ったのは、「いや、ハートランドではない。大事なのは、『リムランド』というハートランドの周辺にある部分である」ということで、これがアメリカなどのいろいろな戦略に結びついてきているのです。

 この地図を見られると、日本とイギリスで少し色が違うのがお分かりかと思います。

―― はい。

小原 日本ではかなり誤解されて紹介され、いろいろな本の中では日本とイギリスがリムランドに入っています。でもスパイクマンが言っていたのは、「日本はリムランドの沖にある島国だ」ということだったので、そこは注意しておく必要があります。

 いずれにせよ、日本の戦略的・地政学的な位置は非常に重要で、アメリカも非常に重視しています。中曽根政権の時には「不沈空母」という言い回しもありましたが、ここにいる日本の持っている戦略的・地政学的な意味合いが非常に大きいということだと思います。

―― はい。

小原 アメリカが前方展開を行っていくうえで、日本の意味は在日米軍も含めて非常に大きいのです。極端なことをいえば、ここから中東までアメリカ軍は出ていけるわけで、日米同盟というものは非対称です。

 ジョン・ボルトン元米大統領補佐官の回顧録などを読んでも、トランプ大統領が「もっと金を出せ。さもなくば引き上げるぞ」と言ったというような話があったそうです。ただ、アメリカの戦略家や国防総省からすると、日本を失うことは世界戦略の上で非常に大きいわけです。トランプ大統領が在韓米軍のことをあまり分かっていないことは指摘されていますが、地政学について説明すると、そういうことになります。


●米中戦争の可能性を探る「トゥキディデスの罠」



スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(2)日本人が知らない世界エンタメ市場
実は「コンテンツ世界収益ベストテン」に日本勢が5つも!
水野道訓