米中関係の行方と日本の今後を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
米中のはざまで日本にできる役割とは何か
米中関係の行方と日本の今後を読む(12)中国の対日認識と日本の役割
小原雅博(東京大学名誉教授)
まさに一筋縄ではいかない米中関係と国際関係の中で、日本が取るべき対応についてはどう考えればいいのだろうか。これまでのように受動的な立場を守るのではなく、積極的に具体的なプロジェクトを積み重ねること、それには政府だけでなく企業も一丸となった姿勢が必要だということだ。(全12話中第12話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分26秒
収録日:2020年9月8日
追加日:2020年11月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●先鋭化する米中関係の下、秋波を送られる日本


小原 それでは最後に考えることとして、日本はどうするのか。

―― はい。これは非常に大きな問題です。

小原 ここに、8月の「環球時報」の社説を抜き出しておきました。これを見れば明らかですし、今よく「日本は秋波を送られている」とも言われています。米中関係が悪化する中で日本をなんとか取り込んでおきたいという戦略は当然あるわけで、そういった中で書かれた社説だと思うのです。

 実は、日本自身もアメリカから少し距離をおきたいのではないか、という認識がここにあるわけです。そういう意味でいえば、アメリカと同調するのではない日本、ここには「外交的独立」などと表現されていますが、そのために中国が働きかけをできるはずだということも明記されています。

―― これはまた難しい話ですよね。米中が対立をどんどん強めていく中で、もちろん中国としてはアメリカが同盟戦略を取ってくるならば、そこにくさびを打ちたい意図もあるでしょう。この両国のはざまで日本としては何をすべきか、本当に難しい問題だと思います。

小原 これは難しい問題です。これまでにも議論してきたように、日本としては、アメリカとの関係やアメリカの市場というものが、政府だけではなく企業などにとっても非常に大事なわけです。そこを守っていこうとすると、今度は中国の市場が守れなくなってきます。

 今までは、アメリカとの間にある日米同盟と日中協商によって、日本の安全や安全保障による利益が守られてきました。ところが国益には、死活的国益としての安全と同時に、もう一つの国益として経済的な利益があります。日本の繁栄は、二番目に大事なわけです。

 中国は、今日本の最大の貿易相手国です。日本の大企業で、中国市場と関係のない企業は少ないぐらいです。アメリカと関係があるからといって、そうしたものを直ちに断ち切れるかというと、それはできません。今までは両方ともなんとなくうまくやってきたわけです。それがだんだん許されない米中関係になってきたことからすると、日本企業にとっても非常に厳しい時代に入ってくる可能性があることは覚悟しておかないといけません。

―― そうですね。


●日米同盟+αをどのように進めるか


小原...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司

人気の講義ランキングTOP10
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(2)MAGAの矛盾と内戦の現状
MAGA内戦勃発…なぜトランプがMAGAの敵になってしまうのか
東秀敏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏