米中関係の行方と日本の今後を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
習近平国家主席の「中国の夢」で最終的に狙うのは台湾統一
米中関係の行方と日本の今後を読む(10)南シナ海・台湾問題
小原雅博(東京大学名誉教授)
米中の対立をめぐって、南シナ海と台湾の問題が焦点を集めている。特に台湾の統一は、習近平国家主席にとって「中国の夢」を完成させるための画竜点睛というべき重要事項だ。中国は一国二制度による問題解決を望んできたが、事態の進展が見られないことから武力の使用も辞さない態度を見せ始めている。(全12話中第10話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分19秒
収録日:2020年9月8日
追加日:2020年10月31日
カテゴリー:
≪全文≫

●南シナ海で進む中国による現状変更


小原 現在、注意しないといけないのが、南シナ海と台湾の問題です。それぞれ別の機会に取り上げて説明するような大きなテーマですので、今日はあまり詳しく触れませんが、ご覧になれば分かるように、南シナ海には領有権を主張する国ぐにがあり、それらが対立する中、力の強い中国が現状を変えるべく一方的に変えるような行動をしています。それは、今回お話ししたようにアメリカがそれに反撃ができないよう、低リスク・低強度の形で行うわけです。

 アメリカは、当事国ではないので領有権は主張していません。中国は「当事国でない国は勧誘するな」という。かつ中国からすれば、ASEAN全体と議論していくよりは1対1でやっていくほうが圧倒的に力が大きいですから、バイで交渉したいわけです。しかしASEANの、とくに当事国からすれば、ASEANと言うものでボリュームになって、「ASEAN10」として中国に向き合っていくほうが交渉力は高いわけです。

―― そうですね。はい。

小原 こうしたせめぎ合いがある中、「コード・オブ・コンダクト(行動規範)」というようなものをつくって、平和的に問題を解決しようという動きが、これまでずっと見られてきました。

 それを本当に拘束力のあるものにしようということについては、中国は言葉ではそう言いつつも、なかなかそこまではいっていません。中国からすれば、その内容については自分たちの現状を認めさせるような形にしたい。そのせめぎ合いが、今ここで続いているということです。

 アメリカ側は、先ほど触れた「航行の自由作戦」を実施して、法の支配つまり国際法に中国が依拠することを求めます。アキノ政権の際に国際仲裁裁判所が出した結論など、中国は「もう紙くずだ」と拒否しますが、しっかり守るべきだというのです。中国は国連海洋法条約の締結国ですから、それによる拘束を受けるのだという立場は、日本も同様です。


●一歩踏み込むアメリカの姿勢と尖閣諸島への波及


小原 また他方、国際法準拠を強調するアメリカでは、マイク・ポンペオ長官が今回初めて「アメリカは領有権の問題に対しては立場を明らかにしない」と言ってきています。尖閣諸島についてもそうで、領有権について「日本のものだ」とは言っていません。

―― これは行政権でしたか。

小原 い...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司

人気の講義ランキングTOP10
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(6)江戸時代の藩校レベルを分析
史料読解法…江戸時代の「全国の藩校ランキング」を探る
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀