米中関係の行方と日本の今後を読む
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コロナ禍で本当に安全を守っている政党はどこなのか
米中関係の行方と日本の今後を読む(4)国民を代表する党と対中強硬路線
政治と経済
小原雅博(東京大学名誉教授)
コロナ禍において、米中両国でデモと鎮圧が起こり、メディアの映像を通して相似した図式が露わになっている。人類にとって究極の恐怖は安全を脅かされること。アメリカでトランプ大統領に対する支持が盛り返している背景には、そうした治安の悪化に対する不安や恐怖がある。そんな中、安全を守っている政党はどこかという話になると、コロナによる多くの感染者や死者を出しているアメリカの共和党や民主党は本当に国民の安全を守っているのか、むしろ中国共産党ではないかという議論もある。(全12話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分39秒
収録日:2020年9月8日
追加日:2020年10月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●香港とアメリカのデモ鎮圧はイコールか


―― 一方の中国には、香港での暴動鎮圧やウイグル問題など、人権侵害が相当なされているという批判があると思います。そのあたりは中国へのカウンターとして議論されるということですね。

小原 そうですね。香港については、2020年6月30日に全人代が「香港国家安全維持法」を採択して、すぐさま施行しました。それに対して、「一国二制度」の肝である香港の自由を制圧するものであり、一国二制度が色あせていくという議論が噴出します。

 多くのメディアは、自由より民主を中心に報道していますが、香港の基本法については、英中の交渉と合意があった後につくられてきたわけです。もちろん中国本土と違って自由については書き込まれていますが、民主については最後の目標としています。行政長官にしろ立法院にしろ、最終的な目標としては「普通選挙を目指す」と書かれていますが、そこで保障されているわけではないのです。

 学生中心の民主化運動は、雨傘運動以降ずっと盛り上がってきました。さらに前史として、天安門事件の余波や影響もあったため、そこにみんなが焦点を当てたのだと思います。

 しかし、本土がガチョウかニワトリだとすると、香港はまさに金の卵です。それを保っていくため、経済策としては自由中心の「レッセフェール(フランス語で「なすに任せよ」という意味)」が適用されてきました。ただし、そこには透明性があり、腐敗のないルールがあったわけです。こうしたものが、世界的な国際経済都市・金融都市として評価の高い香港の繁栄を支えてきました。そこが失われてしまうのではないかという議論があります。

 ところが、実際に起こっていることとして映像で見せられるのは、警官と学生たちの衝突であり、暴力が振るわれるか振るわれないかです。それは多分アメリカでも起きているようなことでもある。そうすると、中国から香港に対して「ダブルスタンダードではないか」と批判が起こります。

 学生たちの活動を取り締まるのはけしからんと言っているけれど、アメリカで行われていることもそれに近い。平和なデモも行っているのに、一部が少し暴力的に走ったからといって、軍隊を出すなどと言っている。「トランプ氏のやっていることは、香港がやった以上のことかもしれない」と中国側が反撃に出ているわけです。


●国民を真に代表する党と...


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