米中関係の行方と日本の今後を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
米中間の勢力均衡の鍵を握る大事なポイントはシーレーン
米中関係の行方と日本の今後を読む(7)新冷戦の影とシーレーン
小原雅博(東京大学名誉教授)
「新冷戦」がささやかれるほど対立の続く米中間で、戦いを避け勢力均衡を保つ鍵はシーレーンにある。中国は太平洋をアメリカと二分割する腹案を持つといわれるが、仮に実現したとすると日本にとっては死活問題だ。今や抑えるもののない大国に成長した中国に対するパワーはどうあるべきなのだろうか。(全12話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分01秒
収録日:2020年9月8日
追加日:2020年10月24日
カテゴリー:
≪全文≫

●トランプ政権4高官演説に見る「新冷戦」の影


小原 前回お伝えしましたポンペオ国務長官の演説は、この資料に書いたシリーズで行われた4番目の演説でした。

―― はい。

小原 彼自身は、先ほど言ったように、ニクソン大統領以来の関与政策をやめるということを、外交の責任者である国務長官として宣言したわけです。この演説はニクソン大統領記念図書館で行われましたが、まさにそうしたことを頭に置きながら、この場所を選んだということです。

 最初の大統領補佐官から始まって、FBI長官、司法長官など、みんなが一緒になって、「ターゲットは中国共産党」だと言っています。つまり、中国という国家というよりも共産党というものをターゲットにして、4氏が演説をしているわけです。一つのポイントとして頭においていただきたいのは、まさにイデオロギーがそこに出てきているということです。

 これがまず、「新冷戦」だと言われる理由の一つだと思います。つまり、冷戦というのは一体何だったかというと、いろいろな特徴があるわけですが、一つの特徴がイデオロギー闘争です。今まで貿易戦争など、いろいろなことがあったけれど、米中では必ずしもそこまでいっていませんでした。ところが今、新冷戦が出てきはじめました。「新冷戦は本当に新冷戦なのか」という議論が今までありましたが、新冷戦の影がここにもう出てきているということです。

―― ポンペオ氏などは、言ってみれば完全に「敵認定」のような、かなり激しい言葉を使っていますよね。

小原 そうですね。


●米中間の勢力均衡の鍵を握るのはシーレーン


小原 米中間の問題でもう一つ気をつけないといけないのは地政学であり、パワーシフトやパワーバランスともいわれる「勢力均衡」です。この地図では太平洋や東アジアを軸に、中国がどのような姿勢を押し出しているか、それに対してアメリカがどう食い止めようとしているかを図示しました。

 この資料を見る一つのポイントは、「第1列島線」「第2列島線」「第3列島線」という概念です。

 1950年、当時の国務長官だったアチソン氏は、アメリカが責任を持つ防衛ラインとして、フィリピン-沖縄-日本-アリューシャン列島を結ぶ「アチソンライン」を表明しました。ここに韓国が入ってい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(2)日本人が知らない世界エンタメ市場
実は「コンテンツ世界収益ベストテン」に日本勢が5つも!
水野道訓