医療から考える国家安全保障上の脅威
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
なぜ日本の医療はテロに対応できないのか?三つの理由
医療から考える国家安全保障上の脅威(5)日本の医療の問題点と提言
山口芳裕(杏林大学医学部教授/高度救命救急センター長)
残念なことだが、現在の日本の医療はテロ攻撃には対応できない。その理由として、テロの悪意に対して無防備なこと、時代遅れの教科書的知識しか持っていないこと、テロで想定される健康被害に対応できる医療体制にないこと、があげられる。最終話では、日本の医療の問題点を米国の事例を示しながら解説し、国民の命を守るための医療体制のあり方についての提言をして講義を締めくくる。(全5話中第5話)
時間:12分52秒
収録日:2024年9月20日
追加日:2025年5月29日
≪全文≫

●日本の医療がテロ攻撃に歯が立たない三つの理由


 健康医療安全保障の5回目。今回は安全保障にかかる医療の側の問題点について、お話をさせていただきます。

 皆様方の中には日本の医療の水準は大変高いから、万が一いろいろなものが使われても、とりあえず病院に運び込みさえすればなんとかなるのではないかと高をくくっている方がいるのではないかと思いますが、実はなんとかならないのです。

 日本の医療は、安全保障にかかるいろいろな健康被害の役には立たない。歯が立たないのには大きく三つの理由があります。

 一つ目は、テロの中に含まれている悪意というものに対して、日本の医療はあまりにも無防備、無抵抗であるという点です。二つ目は、日本の医療はカビが生えたような教科書の知識しか持っていない。最新のテロに使われるような化学や微生物の知識を持ち合わせていないということ。そして三つ目は、安全保障にかかるようないろいろな健康被害に対して対応できるような医療体制になっていないという点です。

 この三つの点について一つずつ、少し詳しくお話をさせていただこうと思います。


●テロの悪意に無防備な日本の医療と救急医療チーム「DMAT」の問題点


 まず、テロの中に内在する悪意に対して日本の医療があまりにも無防備、無抵抗であることについてです。

 東京には「東京DMAT」という、大きな事故や事件が発生した際にいち早く現場に駆けつける救急医、救急看護師で形成された、1200人規模の医療チームがあります。(彼らは)救命センターから消防とともに現場に駆けつけるわけです。年間400例ほどの実績があり、万が一の場合、例えば都内で爆弾テロが起こっても、おそらく10分以内に彼らは現場に駆けつけて、いろいろな医療行為をすぐさま始められると思います。

 しかし実際には、これが問題です。現在、世界各国で起こっている爆弾テロは、原則必ず2発、ときに3発起こります。1発目の爆発で被害者が出た(場合)、これの救助・救出、あるいは医療対応に当たるために人がワーッと寄ってきた、そのタイミングで2発目が爆発されることになります。

 おそらく、先ほどご紹介した東京DMATの隊員は、まさにこの2発目の格好の餌食になってしまうのではないかということが危惧されるわけです。なぜなら東京DMATのチームは、こうしたテロについての基本的な知識というものを熟知...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
米国派経済学の礎…ハミルトンとクレイ(1)ハミルトンの経済プログラム
フェデラリスト・ハミルトンの経済プログラム「4つの柱」
東秀敏
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉

人気の講義ランキングTOP10
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(5)1人の力で歴史を変えた男たち
大義にもとづく「個人の決断と行動」が歴史を動かす…名将の教訓
門田隆将
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(1)あらすじと賢治の原稿
未完の長編『銀河鉄道の夜』の魅力と宮沢賢治の思想に迫る
鎌田東二
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
資本主義の再定義…哲学で考える(4)共感としての見えざる手
利とは、義の和である…なぜ道徳的なふるまいが企業活動に重要か
中島隆博
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将