アメリカの理念と本質
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「アメリカ・ファースト」と通底するアメリカの帝国観
アメリカの理念と本質(6)帝国としてのアメリカ
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
アメリカ合衆国建国の父は、アメリカ合衆国独立宣言またはアメリカ合衆国憲法に署名した政治的指導者、また愛国者たちを指導してアメリカ独立戦争に関わった人々を指す。彼らの頭にあったアメリカの国家像、その原型は古代ローマの共和政である。それはまた、理想国家としての「帝国」をも意味するものだった。そのアメリカの帝国観は、今日の「アメリカ・ファースト」というスローガンにも通底するものがある。(全10話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分19秒
収録日:2024年6月14日
追加日:2024年9月24日
カテゴリー:
≪全文≫

●アメリカの国家像、その原型は古代ローマの共和政


―― 重ねて中西先生にご質問させていただくとすると、もともとアメリカ合衆国が立ち上がっていく過程のモデルとしては、当時のヨーロッパのあり方ではなく、さらに遡って古代ローマや古代ギリシアの伝統にその範を求めていたというお話をされていました。この部分もぜひ理解しておくべき部分なのかと思いました。(アメリカについて)よく言われることとして、「ヨーロッパの中世的なものがなく、いきなり古代から現代に来てしまった国だ」といった表現がなされることがありますが、その辺りのアメリカ観はいかがでしょうか。

中西 はい。これは非常に重要なアメリカ理解のポイントです。端的にお答えしますが、アメリカの建国の父といわれる人たち、アメリカ(合衆国)憲法を作った人たちは、すべからく当時のアメリカ大陸においては高学歴の持ち主だったと思います。当時のヨーロッパのエリート教育を受けた地主層や、大きな荘園、大農園の所有者といった非常に富裕な人たちは、ニューイングランドの貿易商の子孫たちです。

 ですから、彼らは非常に高いエリート教育を受けている。当時のエリート教育といえば、もちろんヨーロッパで行われていた古典教育で、ギリシア・ローマの古典を学ぶということを徹底的にたたき込まれているわけです。

 彼らは古典教育とキリスト教の教義という二本柱の教育を受けたわけですが、彼らにとってもっとも切実な憲法を作るときに、どんなアメリカの国家像を抱いたか。アメリカという国をどんな国にすべきかとして、「共和政」というものがありました。イギリスの国王に反乱を起こし、自分たちで「同意に基づく政治を行うのだ」と。すなわち、今日でいう民主主義です。

 そうすると、その原型はどこにあるのか。共和政は王を戴かないとしたら、共和政をとっていた国は、当時のヨーロッパの常識でいえば、小さな都市国家しかありません。イタリアのヴェニス(ヴェネツィア)やフィレンツェなどの事例しかありませんでした。

 アメリカという、当時からすでに広大だった地域を対象にする新しい独立国家というものは、共和政をとる国として広域の発展をした国としては、どんな事例があったか。彼らにとってのインスピレーションは、古代ローマの共和政だったのです。ローマの歴史は、ご存じの通り、紀元1世紀にオクタヴィアヌス(...

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