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Ⅶ. トランプ関税が志向する大戦略
◆依然として意味不明な相互関税(reciprocal tariff)
◆トランプ関税の主な内容
・全世界対象:相互関税
・カナダ、メキシコ:輸入品に25%
・中国:輸入品すべてに計20%
・鉄鋼・アルミ:全てに25%追加関税
・自動車:4.3から輸入自動車すべてに25%追加関税
◆相互関税:貿易相手国と同水準まで関税障壁を高める政策
◆トランプ氏の自由貿易政策批判
・第二次大戦以降の自由主義経済秩序が米国の繁栄の基盤ではなく、崩壊の要因だったというトランプ氏の確信が方針転換の背景に。
・第二次大戦の直後、世界の主要国が焼け野原になったこともあって、アメリカが世界のGDPの52%を占めており、多くの金も保有していました。しかし、第一次大戦後にドイツに多額の賠償金を課したことが第二次大戦の原因の一つとなった反省もあって、第二次大戦後にはアメリカが世界を支え、世界各国を発展させることで、アメリカも発展していこうとする戦略を採ります。
・1944年7月には、ブレトンウッズに連合国の通貨担当者が集まって会議が開かれました。これに基づきIMF(国際通貨基金)などもつくられ、また、「固定為替相場制」も採られました。この裏打ちとなったのは、アメリカが保有する金でした。またアメリカは、その強大な軍事力で世界の平和を管理していきます。
・アメリカが世界秩序を支え、固定為替を支え、平和を支えるなかで安定的な経済の仕組みがつくられ、ドイツや日本などの敗戦国も高度成長し、世界全体も大きく成長していきました。そしてそれに伴って、アメリカも発展していきました。
・しかし、トランプ氏はこのような歴史を知ってか知らずか、戦後のあり方を全否定するような考えを持っているようです。
・トランプ見解:米国が関税を下げ、資本流出を無制限に認めることで経済主権を放棄。相互関税で、米国の経済、軍事、技術的優位性を活用し、世界貿易の流れを自国に有利なように再構築し、数十年にわたる政策の是正をめざしています。
Ⅷ. 日本はどう対応すべきか
◆何をすべきか
・トランプ政権の相互関税を武器にした世界の貿易投資構造大変革攻勢にどう対応。
・トランプ氏の“万里の長城”戦略(貿易による経済封鎖)に対応する世界の大戦略。
・世界貿易、大開放戦略の推進。
・TPPは自由貿易原理による世界市場の解放。
⇒2016年以...


