徳川将軍と江戸幕府の軌跡~吉宗編
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
8代将軍・徳川吉宗はなぜ大奥で非常に評判が良かったのか
第2話へ進む
徳川吉宗は庶民感覚を持ち合わせた特異な将軍だった
徳川将軍と江戸幕府の軌跡~吉宗編(1)庶民感覚と自己管理
歴史と社会
なぜ江戸時代は約270年もの間続いたのか。それは「江戸時代が庶民たちにとって幸せなものだったからだ」と山内昌之氏は言う。そして8代将軍・徳川吉宗の時代に焦点を当てると、吉宗が将軍としてとても特異な人物であったことが見えてくる。その知られざる吉宗の一面とは?(全5話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:11分12秒
収録日:2020年1月7日
追加日:2021年7月10日
≪全文≫

●江戸時代は庶民にとって幸福な時代だった


―― 前回のシリーズ(家康編)に引き続き、「どうして徳川時代はこれほど長く続いたのか」という話をしていただきたいと思います。

 一つには、徳川家康、徳川秀忠、徳川家光などによって初期に作られた統治や人材登用などの仕組みに、とても知恵があったのでしょう。知恵がなければ、非常に長い間、続きません。そのあたりから教えていただけますでしょうか。

山内 われわれはよく「上から目線」という言葉を使いますが、「下から目線」という言葉はあまり使いません。「上から目線」は否定的な意味で使われることが多いのですが、政治史を勉強していると、つい「上から目線」の立場で、家康などの将軍、老中をみることになる。ただ、時には「上から目線」ではなく「下から目線」、つまり「庶民の目線」というものを考えなければいけません。

 そのような意味では、世界史の中で江戸時代は、同時代の中国やヨーロッパと比べた場合に、庶民たちが幸福な時代だったと思います。

 確かに、百姓一揆などの問題も起きます。税制の問題も起きます。しかし、他国における大衆反乱や民衆運動、農民暴動への対応や事後措置と比べた場合に、日本の統治体制は全体として比較的緩やかなものでした。

 特に江戸時代に焦点を当てると、さまざまな浮世絵や文学などを通して分かるのは、江戸の町人や商人たちは、他の国に比べて相対的に幸せだったということです。つまり、庶民の幸福感や、日々の生活の中での納得感などが、そこはかとなく漂っていた。そのような時代だったからこそ、270年もの間、同じ支配者のもとで統治が続いた、ということが言えるのです。

―― 確かに同時代で見たとき、庶民は(他国ではなく)江戸に生まれたほうが幸せだったと言えますね。

山内 あるいは大坂・京都、その他の地方の城下町などにも同じことが言えます。いずれにしても、江戸時代は幸せでした。


●徳川吉宗には庶民感覚が身についていた


山内 例えば、徳川吉宗(8代将軍)の時代を見てみましょう。7代将軍の家継で、家康、秀忠からつながる系譜が切れました。そこで、御三家の紀州家から吉宗が入り、将軍に就いた。これは御三家の制度が生きた最初の例です。その時、吉宗は、紀州ですでに藩主として統治経験を持っていたのです。

―― 確かにそうですね。

山内 参勤交代も行っ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
斎藤成也
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子

人気の講義ランキングTOP10
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(4)足場かけと遊びの活用
気づきを与えるカードゲームの魔法、大事なのは足場かけ
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
クーデターの条件~台湾を事例に考える(3)クーデターの具体的手段と外的要因
2・26事件の失敗に学ぶ!? クーデターを成功させるためには
上杉勇司
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
編集部ラジオ2025(23)垂秀夫元中国大使が語る習近平中国
垂秀夫元中国大使に習近平中国と米中関係の実態を聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
未来を知るための宇宙開発の歴史(12)宇宙推進技術はどこまで進化したか
水平離着陸で宇宙へ、近未来のロケット像と進む技術開発
川口淳一郎
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
日本画を知る~その技法と見方(2)余白のあり方
日本画の余白とは、見手が入り込む隙を作ること
川嶋渉
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
大人の学び~発展しつづける人生のために(1)「Unlearn(アンラーン)」とは何か
見方を変える!生き方を変える!そのためのアンラーン
為末大