石田梅岩の心学に学ぶ
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
失敗から学んだ石田梅岩、独学で教養を高めた少年期の体験
第2話へ進む
町人の時代へ、石田梅岩に影響を与えた江戸経済の隆盛期
石田梅岩の心学に学ぶ(1)石田梅岩の生涯と時代背景
田口佳史(東洋思想研究家)
石田梅岩の心学は、日本で初めて商人が学べる学問をつくり上げたといわれる。その思想哲学を理解するためには、梅岩の思想の淵源をたどってみるほうが分かりやすい。まずは、江戸時代の最初の隆盛期である元禄期と重なる彼の生涯を俯瞰しながら、「町人の時代」へ進んでいったその時代背景に迫る。(全9話中第1話)
時間:10分35秒
収録日:2022年6月28日
追加日:2024年4月8日
≪全文≫

●江戸時代の最初の隆盛期・元禄期と重なる石田梅岩の生涯


 今日のお話の流れとしては、石田梅岩とはどういう人なのかというお話をした後、梅岩教学(の話に移っていきます。ただ梅岩教学を)一番理解しやすいのは、直接梅岩に当たるのもいいのですが、反対に、梅岩(の生涯)からさかのぼって梅岩(教学)に至るまでの思想哲学、要するに商道、経営道といってもいいのですが、その流れがどのようになっていて、それを梅岩ががっちり受け止めて、自分の思想にまとめたかということで、多くの方はそこを見逃しているような気がしてなりません。

 幸い私の専門はそこだったので、その淵源からずっと梅岩までの思想の流れ、経営道の流れをお話ししますと、「梅岩の思想が非常によく分かる」と皆さんに言われるので、次にそのお話を申し上げることにしたいと思います。

 まず梅岩という人の生涯について、私が作った図が「石田梅岩の生涯」です。ラフで雑駁なもので申し訳ないですが、これを見ていただきます。1603年は家康が征夷大将軍になり、江戸幕府が開かれた年ですが、それから82年たった年(1685年)に梅岩は生まれるということです。梅岩が亡くなるのは1744年。ちょうど60歳なので、梅岩の人生は60年間だったということです。

 (この図から、)まず梅岩の一生を俯瞰で見ていくと、日本の江戸時代で一番隆盛を極めた期間は、元禄期と文化文政期(化政期)の二つですが、江戸時代の最初の隆盛期である元禄期(1688~1703)は、すっぽりと梅岩が育つ過程に重なるので、そういう時代的風潮も(彼に影響が)あったと思われます。


●「町人の時代」を準備した家康の政策


 なぜこれを前提に考えていただきたいかというと、やはり町方、商人をはじめとする農工商の立場は上から馬鹿にされることもあったし、実際に戦乱の世の中は生きづらかったということがあります。

 どれほど一所懸命に田畑を耕しても、一気に軍勢が駆け抜ければ、それでもう一年間は何も獲れないような状態になります。また、当時(戦国時代)は群雄割拠の時代ですから、町人のようなものは、何かの都合で武士から斬られても何も言えないということで、命の危険もたくさんありました。

 それを(変えたのは)家康です。彼が征夷大将軍になったのは(1603年)2月でしたが、町人の心をよく知っていた...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
デカルトの存在論に学ぶ(1) 「我思う、ゆえに我在り」
「我思う、ゆえに我在り」はデカルトの専売特許ではない
津崎良典
『孫子』を読む :計篇(1)「戦わずして勝つ」の意味
「戦わずして勝つ」ことを唱える『孫子』が注目される理由
田口佳史
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(10)戦後の「五族」の運命
「五族協和」の真実と満洲国崩壊後の五族の悲劇…満洲人、朝鮮人、露人、蒙古人、漢人らの戦後悲史を直視せよ
宮脇淳子
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
トップアスリートが実践する「自分の高め方」とは…まず集中のスイッチを入れる方法は?
為末大
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
大国主神に学ぶ日本人の生き方(8)求婚の歌と縁結びの力
大国主神が詠んだ歌…『古事記』の歌の意味と縁結びの力
鎌田東二
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望